早いもので2016年も睦月を終えようとしている。株価急落、バスの事故、大雪…、芸能界でもワイドショーを騒がせるニュースが相次いだ、めまぐるしい1カ月だった▼だからというわけではないが、元旦に新聞各紙を賑わせたニュースを思い出してみたい。理化学研究所が、周期表で113番目の元素の命名権を得たという吉報だった。ではその名前はどうする、というのが続報として今も報じられている▼最有力は、ラテン語の「日本」に由来する「ジャポニウム」だという。国の名前はほかの元素にも使われており、アメリシウム(アメリカ)、ルテニウム(ロシア)などがある▼周期表で84番目に位置するポロニウムは、ポーランドにちなんで名付けられた。発見者の一人はノーベル化学賞を受賞したキュリー夫人だ。当時、ロシアの支配下にあった故国の独立を願って命名したといわれる▼このポロニウム、毒殺に使われていたことで名前をご存じの方も多いだろう。ロシアのリトビネンコ氏、PLOのアラファト議長の死はポロニウムによる暗殺といわれている。もちろんポーランドに非はないが、国の名前がついた元素が悪用されるのは気分がいいものではないだろう▼ジャポニウムになりそうな113番目の元素は、自然界には存在しない。合成は困難で、性質はわからないが、いつかは人類のために役立ってほしい。そういえば、悪と戦う巨大ロボット「マジンガーZ」、あの超合金の装甲は「ジャパニウム」という鉱物でできているという。