金正恩の暴挙に怒りの声

「水爆実験」 在日韓国人らは今
日付: 2016年01月14日 10時20分

 平壌の朝鮮中央テレビは6日、水爆実験を成功させたと緊急報道した。韓国の朴槿惠大統領は「相応の代償を払わせる」と北韓を強く非難。日本の安倍晋三首相も「断じて容認できない」と述べた。各国、そして国連も対応を急ぐ中、金正恩体制の暴走を見る在日韓国人と、日本人の声を聞いた。      (康敬瓚)

7日、朝総連前で抗議行動を行った民団
「脅威をどう根源的に除去すべきか」
という覚悟は聞こえず

 水爆実験という挑発の翌日、民団(呉公太団長)は金正恩に忠誠を誓っている朝総連の中央本部前で、抗議行動を行った。
 抗議に行った民団東京の李壽源監察委員長は、「北韓はこれまで以上に国際社会の”孤児”になる。国民の生活が大変な時に核実験をやって、どういうつもりなのか」と怒った。
 北側の核ミサイルの実戦配備が差し迫ったという危機感や積極対応の注文より、金正恩の暴挙が招く在日韓国人への影響を心配する声が多かった。
 朝総連への抗議行動でシュプレヒコールを行った青年会中央の徐史晃会長は、「北韓の党大会や米国の選挙が近いからでしょうか。私たちの世代は、北韓のテポドン発射以降、日本の排外主義の標的にされてきた。それがさらに悪化するか心配している」と不安げに語った。
 滋賀県在住の60代、在日韓国人の男性は、「水爆実験はとんでもない。韓国と日本が昨年末から築いてきた良好な雰囲気を壊された」と北韓への怒りをあらわにする。水爆実験で対北感情が悪化するのは必至だが、それが韓日関係にも飛び火することを恐れる声は、東京のコリアンタウン新大久保で韓国料理店を経営する新規定住者の男性からも上がった。
 「韓国と北韓を一緒くたにされることが困る。特に、ヘイトスピーチを行う人間にとって水爆実験は格好の材料になる。また動きが活発にならないか心配だ」
 北側の暴挙のため韓国人があおりを受けるようになって久しい。金正日が拉致を認めた際、少なからぬ在日韓国人が周囲の見る目が変わったと感じた。行政からの支援を打ち切られたり、自治体から身に覚えのない問い合わせを受けたりしたケースは多数あったという。
 東京で日韓親善協会の活動に携わる70代の日本人男性は、「水爆実験で、東アジアの緊張感が高まっていくことが心配。拉致問題などは、これによりまた進展しなくなる可能性がある。北韓の悪行ではあるが、在日韓国人にとっては気の毒だ。南北統一も遠のくのでは」と語る。そして、日韓の連携が強化されることを願うと述べた。
 国際社会の連携強化を願う声は多い。千葉県在住の60代の在日韓国人男性は、「国際社会は北韓に対していつまでもアメとムチをやっている場合ではない。国際社会の連携強化が急がれる」と強調した。
 埼玉県在住の70代日本人男性は、「金正恩は国際社会の分裂を望んでいる」と前置きした上で、「韓国と日本、米国、そして中国とロシアなど国際社会が連携を強め、対応にあたらなければならない」と口調を強めた。
 金正恩暴圧体制と日本の中の”共犯者”たちをどう処分すべきかという覚悟がほとんど聞こえない中、韓国の退役軍人などで構成されている大韓民国在郷軍人会の日本支会(孫京翼会長)は水爆実験に対して「大韓民国は決断せよ」との声明文を発表。その中で「大韓民国の歴代政権は、北の核を自らの力で阻止するより、国際社会に対北糾弾と制裁を訴える方式に注力してきた。今まで、国防力の強化、攻勢的な対北心理戦展開、開城工団中断など、最小限の対応や膺懲措置も講じなかったため、最悪の安保危機を招いた」と韓国政府の対北韓政策に厳しい指摘を加えた。
 同会は韓国がとれる対策として「NPTから脱退するなど北側の核に対応できる態勢を直ちに整えるか、核武器を持った暴圧体制そのものを崩壊させることだ」と主張した。


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