年が明けて歴史とは何か、歴史の主役は誰かを考える。そして、韓国の第6共和国体制は寿命を終えたと確信する。これは、韓国社会で起きているいくつかの現象を見るだけでわかる。有機体は、生存環境の変化や迫りくる危機に適切に対応できないと淘汰される。ところが、韓国社会はこの生存のための反応をほとんど示していない。
韓国の回生のため、至急に処置せねばならない課題を指摘したい。朴槿惠政府3年間の迷走と、それに共同責任のある「国会独裁」だ。朴槿惠政府の無力さの理由と事情が何であれ、この3年間、国は停滞し、国民の目には国会は国の負担、国政の邪魔者と映る。
体制の衰退・堕落は人的要因と体制の脆弱さからくる。今の問題は、その原因がほとんど30年以上蓄積された異状や矛盾に起因するという点だ。
ここで経済のことを論ずる余裕がないため、安保の異状だけを指摘したい。国家目標を具現する安保で失敗したら、経済も福祉も存在できなくなるからだ。
国連はテロの根絶を決議している。朴大統領は国連で安保理のテロ根絶決議を誠実に遂行すると明言した。だが、韓国のテロ防止法案は10年以上も国会で眠っている。北韓やテロ組織が日常的に行うサイバー攻撃に対応する法案も同じだ。米国は国家基盤施設へのサイバー攻撃を武力攻撃と見做し、同盟国への攻撃も同様に扱う。韓国はサイバー戦争でも米国の保護を乞うつもりなのか。
韓国は自国民の保護と救出を国家目標として内外に宣言していない。国連総会は12年連続で北韓人権決議案を採択した。日米は10年ほど前に北韓人権法を制定した。だが、当事者の韓国の国会は05年に提出された法案を10年も通していない。韓国が保護しようとしない北韓同胞の人権を、中国や国際社会が尊重するだろうか。
いま高校の歴史教科書の内容を改革する国定化が進んでいるが、内容が問題になるのは歴史だけか。いま韓国の若者たちは、おそらく韓国社会で精神的に最も弱い世代だ。彼らは自国を「ヘル(地獄)朝鮮」と呼ぶ。これは自己嫌悪・自己否定であり、祖国と祖先をけなす行為だ。大人たちはなぜ叱らないのか。
自信感を喪失した国民は、ポピュリズムの温床になる。善良で強い人間を育てるのが教育だ。いま高等教育を受けた世代が果たして強くて善なる韓国人といえるのか。兵役義務を果たした韓国の若者を強くなったといえるか。
世界は広く、あらゆる機会が溢れている。なぜ狭い国内にとどまって政府の配慮や福祉ばかりを望むのか。誰が韓国の未来世代を、未来に挑戦できない矮小な人間に育てているのか。
いま韓国の危機、国家非常事態の本質は、現実から逃避して仮想現実の中で安住しようとする国民と、国民をポピュリズムで麻痺させ国際人なるのを妨害し、自分たちの既得権維持に利用しようとする政治勢力によるものだ。
この守旧政治勢力が改憲を目論んでいる。サボタージュで国会を停止させ、共和制と議会民主主義を破壊した彼らが改憲を持ち出すなど言語道断だ。
韓国の未来を担う主役は、挑戦精神もなく祖国を否定する勢力ではなく、奴隷状態の同胞を解放することに命をかける強くて賢明な「新しい韓国人」でなければならない。今日の大韓民国を建設した世代は新しい韓国人を育て、彼らに未来を託そう。