幹部は国外に 人民は市場に

脱北高官が暴露か
日付: 2015年10月28日 08時13分

 金正恩が権力を握ったのち、幹部の粛清を行っていることは広く知られている。叔父の張成澤や人民武力部長などを歴任した玄永哲は、凄惨な手段で処刑されたと伝えられている。
 高位級の幹部らも粛清を恐れ、次々と国外に逃れているという。韓国の国家情報院が今年2月に明らかにしたところによると、「党・政・軍の処刑された幹部は70人以上」になるとのことだ。
 国家情報院は今月に入り、新たな北の情勢を国会で報告した。過去3年間で海外駐在の高官46人が韓国に亡命し、今年に入ってからはすでに20人とペースアップしているという。
 東亜日報によると、在外高官の亡命情報は、元国家安全保衛部の幹部によりもたらされたようだ。幹部は平壌勤務だったが、一時的に国外に出た際、隙を見て韓国への亡命を申請したという。
 高官の亡命が続いているのは、粛清がいつ我が身に降りかかるかわからないからだ。しかし、命の危険を覚えているのは高官だけではない。
 北では今、4人家族の1カ月の生活費が、正規の給料の最低20倍以上に達するといわれている。平均的な労働者の賃金は北韓ウォンで5000ウォン程度といわれる。一部の住民は、1カ月の生活に100万ウォンほど必要だとも主張する。
 金正恩は今月、労働党創設70年を祝って全住民に給料の1カ月分を支給したが、住民を食べさせることはもはや不可能になった。住民は職場での収入だけでは生きていけないため、闇市場での商売に頼って生計を立てているのが現実だ。
 問題は核やミサイルをはじめ膨大な軍需経済を抱えている。北韓当局は重要な軍需工場の核心的技術者を確保するため、最近、月給を30万ウォンから100万ウォンにまで引き上げたという話も伝えられている。
 金正恩が党70周年記念演説で人民生活を繰り返し強調したのは、強圧体制だけでは不満を抑えれらなくなったことのあらわれといえる。


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