瞻星臺=編集余話

日付: 2015年10月15日 07時29分

 先日、小欄はケーキの購入を頼まれた。慣れないことなので、店頭でケーキとにらめっこのようになった▼そのうち奇妙なことに気づいた。ピースケーキはホールケーキを8つ切りにした程度の大きさなのだが、値段を8倍してもホールケーキより安いのだ▼素人考えではあるが、ピースケーキはホールケーキをカットしたものだ。デコレーションも、よく見るとホールより手が込んでいそう。つまり手間賃が余計にかかっているはずなのに安い。なぜか▼家族でケーキを囲んでカットする楽しみが、ホールケーキの値段に反映されているのか。つい店員に聞いてみた。記者の悪い癖である▼答えは「ノー」。きれいな丸い形をしているからだそうだ。ケーキの種類によって事情は異なるようだが、小欄が目にとめたケーキはそういう事情らしい▼ふと、月のことが頭に浮かんだ。先月末の「スーパームーン」だ。月が最も地球に近づく時期と満月が重なり、普段とは夜空の明るさが違うことに気づくほどだった▼それから10日ほどたった日の早朝。たまたま夜明け前に目が覚め、空を見た。下弦の月の横に金星が輝いていた。怪しく微笑む美女の口元のようだった▼結局、ピースケーキを買って帰った。きれいな丸い形はしていないが、味はなかなかのものだった。

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