北韓は10日の労働党創建70周年の前後に、事実上の弾道ミサイル発射実験を行う構えを強めている。国際社会の反対と懸念の声に対し、北は従来どおり、「正当な行為」であると反発している。
北韓の李洙墉外相は1日、国連本部での演説で「平和目的の宇宙開発は主権国家の正当な権利だ。衛星打ち上げを問題視する不当な行為に強く対処し、尊厳を守る決意だ」と述べた。ミサイル発射を強行する宣言といっていい。
発射場所は、半島北西部の東倉里となるのが濃厚だ。2012年に2度「銀河3号」が打ち上げられた(1回目は失敗)基地だ。すでに平壌の兵器工場から出発したとみられる貨車が、同地に向かったことが確認されている。
準備の遅れを指摘する声もある。問題の貨車の積荷が明らかになっていない上、過去の発射時と比べて国際機関への通告は遅れている。そのため発射は10日以降になるとの見方が支配的だ。
強い警戒感を示しているのは日本だ。複数の報道によると、政府は海上自衛隊のイージス艦を東海(日本海)や東シナ海に展開させる。過去の発射と同様、東京や沖縄に航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を配備することも検討している。中谷元防衛相がミサイルの「破壊措置命令」を出すのも、過去の例から見れば既定路線だ。
韓国国防部は1日、貨車がミサイル発射とは無関係との見方を示した。国防部の金珉奭報道官は「北韓の弾道ミサイル発射は軍事的脅威であり、ミサイル技術に関連するすべての行動を禁止している国連決議案への明らかな違反だ」と述べた。しかし1日の時点では、ミサイル発射の兆候はないと判断している。
米国は、北が発射に踏み切った場合に追加の制裁を検討している。北は核やミサイルで米国との対話を引き出し、体制の保障を勝ち取ろうと考えているが、米国は応じていない。現在は韓国に対北ミサイル迎撃システムを導入しようとしている。