「秘密のチャンネルあった」

北との間で 金大中・盧武鉉時代
日付: 2015年10月07日 07時34分

 韓国大統領と金正日との間に直通電話が引かれていたという驚くべき話が出ている。07年10月に行われた第2次南北首脳会談の時、国家情報院長だった金萬福氏の証言だ。金氏は中央日報のインタビューと、最近発刊した自身の回顧録で、南北間の非公開接触の内容を明らかにし、金大中政権時から「ホットライン」はあったと主張した。国家情報院は、金氏を機密漏洩の疑いで告発するとしている。(ソウル=李民晧)

 金氏は1日、中央日報とのやりとりで「秘密のチャンネルは第2次南北首脳会談のために利用したのか」と聞かれ、「直通電話はその前にもう引かれていた」と答えた。
 「電話機の前に(南北両側の)職員が24時間待機していた。いつでも接続できるよう準備ができており、二人は多くの会話をした。(チャンネルは)南北関係がうまくいっていた金大中大統領時代に始まり、盧武鉉大統領の時まで続いたが、李明博大統領の就任後、ほどなくして切られたようだ」
 南北間で意思疎通が可能な直通電話回線は、主に4つある。板門店の南北連絡事務所、離散家族の再会を協議するための赤十字社、開城工業団地の通行などを警護する軍の状況室、航空管制センターだけが知られている。実務のためのホットラインだ。
 南北首脳間の直通電話があるという話は、今回初めて浮かび上がった。中央日報のインタビューでは、現在京畿道の教育監(教育長)を務める李在禎氏が同席したとなっている。07年の南北首脳会談当時、統一部長官だった人物だ。
 金大中時代から韓国大統領が北の支配者と直通電話で会話してきたのが事実であれば、国家元首の憲法違反など、多くの問題に発展するのは必至だ。盧武鉉元大統領は在任中、問題発言を多々残している。「北韓の核は自衛権の範囲」「西海の北方限界線(NLL)は、陣地を奪う形で引かれた線」などだ。退任後も国家機密である大統領記録物を不法に外部に持ち出した。背後に金正日の存在があるのではないかと疑われた。
 金萬福氏は中央日報のインタビュー翌日、ソウルで開かれたシンポジウムに参加。「ホットラインはあったが、直接交わされたことはなかった」と前言をひるがえした。しかし、自身の回顧録では別の出来事を暴露している。
 金氏は李在禎氏、白鍾天氏(07年当時、大統領府安保政策室長)との共著『盧武鉉の韓半島の平和構想、10・4南北首脳宣言』で、南北首脳会談(平壌)の1週間前、朝鮮労働党の金養建統一戦線部長が、崔承哲副部長と元東淵室長を同伴し、時の盧大統領に会ったと書いている。「9月26日、盧大統領は青瓦台の與民1館(秘書官業務建物)で北側代表団と会見し、金部長が首脳会談の合意文の草案を持ってきた」。また、金正日が首脳会談期間中、(金大中との)6・15共同宣言について、「白紙になった」という趣旨の発言をしたとも記述をしている。
 国家の1級機密情報を扱う国情院のトップを務めた金氏は、機密を伏せることなく白日の下にさらした。同氏が来年4月の総選挙出馬のため、ノイズマーケティングを行っているという分析も出ている。
 金氏は2011年、日本の雑誌『世界』に南北首脳会談関連の未公開部分の中身を伝えた。職務上の秘密漏洩の疑いで告発されたが、当時は起訴猶予処分を受けただけだった。
 今回再び法的是非を問われた場合、当時の盧・金通話記録の有無が調査されることになるだろう。また、当時の政権関係者がどう関わったのかも捜査の対象となるかもしれない。


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