大韓民国への反逆 その連鎖を絶て(61)

異様な早さの刑執行 恐怖を恐れ逃げ出す人々
日付: 2015年07月08日 04時44分

 金正恩の恐怖統治からの脱出者が増えている。空腹に耐えかねて鴨緑江や豆満江を渡る脱北者たちは、金正恩の強力な取り締まり命令で減った。韓国に入国する脱北者も右肩下がりになっている。
中国には今も多くの脱北者が行き場をなくしてさまよっている。その大多数が女性だ。
最近注目されるのは、北での虐殺を恐れて脱出する幹部たちだ。労働党と軍の幹部たち、中には軍の将校も脱出している。
海外で「金氏王朝」のため外貨稼ぎをしていた幹部も脱出している。核とミサイルを開発する第2経済委員会関係者の脱出も伝えられている。
金正恩が権力を世襲した後、粛清の対象となったのは高位軍人と労働党幹部だった。彼らが「明日は我が身」と逃げ出すのも当然だ。
過酷な監視・弾圧体制が敷かれている北韓では、軍隊が組織的に反乱を起こすのは難しい。ただ、個人的な抵抗は可能だ。側近の誰かが金正恩を撃つ可能性もある。死に直面した人間は、諦めるか、逃避するか、抵抗するものだ。
人民を虐殺した独裁者は、結局人民によって打倒される。歴史はそれを何度も記している。金正恩は、ルーマニアのチャウシェスクやリビアのカダフィと同じ運命を自らたどろうとしている。
統一研究院は先週、「2015年北韓人権白書」(7月1日発刊)を通じて、2000年から2014年の間に、北韓で1382人が公開処刑されたと推定した。脱北者らと面接して推算した数字だ。処刑の数は実際にはもっと多いと思われる。非公開処刑が含まれていないからだ。
処刑とは普通「死刑を執行すること」を意味する。北韓の公開処刑は彼らの「法」には基づいて行われているのか。
北韓の司法制度は、唯一指導体系を守ることを目的とした装置だ。名目上は3審制を置き、1審の判決後、10日以内に被告が上訴できるよう規定している。そして、18歳未満の未成年者や妊娠中の女性には、公開・非公開を問わず、死刑に処すことが禁じられている。
結論からいえば、北韓の公開処刑は「死刑執行」ではない。
北韓では、最高裁判所が公開処刑方法を要請できるようになっている。北韓での問題は、被告の上訴権が完全に無視され、つまり判決が確定していないまま、死刑が執行されることだ。
張成澤や玄永哲などの場合を見ても、異常なまでに早期に死刑執行がなされている。逮捕してから調査と裁判が行われるのだが、その過程をいくら迅速に進めても、逮捕から10日以内に死刑を執行するのは不可能だ。被告の上訴権が無視された証左だ。逮捕から数日以内に執行した処刑は「死刑執行」ではないのだ。
金正恩は結局、自ら行った虐殺の代償を払うことになるだろう。ただ、虐殺に対する責任を負わせる権利は、北韓住民だけが有しているのではない。
最近、韓国では1980年の光州事態のとき、武器庫を襲って武装した「市民軍」によって光州市民が殺されていた疑いが強まった。「市民軍」を自任した暴徒の数十人の顔写真が明らかになっているが、その後35年間、韓国内では一人も身元が確認されていない。最近、彼らの一部が北から送られた者だったことが判明した。
虐殺者を支持・支援する者は共犯だ。ソウルにできた国連の北韓人権事務所は、北韓の暴政を称え、庇護してきた外部勢力も調査して記録を残さねばならない。日本国内の朝総連と韓統連、そして彼らを支持、庇護してきたすべての勢力も対象だ。(続く)


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