北韓が解放された後、処罰と懲罰の対象となるべき者がまた増えた。先週、米国国籍のシン・ウンミ夫婦が来日し、東京(6月16日)から巡回講演をした。招待者は6・15日本地域委員会だった。
シン氏はつい最近まで、民団同胞とも会いたいといっていた。しかし朝総連が統制した講演会場には、韓統連など彼らが選んだ人々だけが入場を許された。部外者を排除せねばならない秘密会合だったのか、それとも何かを恐れてのことだったか。いずれにせよ、彼女が謳ってきた「同じ民族」とは、朝総連と労働党であることを自ら証明した形になった。
シン氏は「南の暗澹たる現実」について講演したという。彼女は韓国について「暗澹たる社会」という前に、6回も訪問した北韓についてよく見るべきではなかったか。
北韓では「特別供給対象」、つまり特権階層でないかぎり、配給は行き届かない。人民大衆は生きるため商売をせねばならず、商売には金日成の肖像が描かれた北韓の紙幣ではなく、毛沢東とワシントンの顔が描かれた外貨が必要だ。自国通貨は紙屑で、外貨が使用される国。「主体の共和国」の暗澹たる姿ではないか。主催者側は自信があるのなら、シン氏の講演映像を公開すべきでないか。
シン氏の巡回講演は「6・15宣言」から15周年を記念して行われた。朝総連は「6・15共同宣言」の履行を強調する。しかし「6・15宣言」は、韓国憲法に反する。当然破棄されるべきだが、それは実現していない。
平壌はすでに、南北間の合意を全部破棄すると宣言している。金正日は存命中に「政治軍事的対決状態の解消に関連する南北間の合意の無効」を宣言(2009年1月30日)した。金正日の遺訓を実践すべき金正恩も「南北間の不可侵に関するすべての合意を全面廃棄し、板門店連絡通路を閉鎖する」と宣言(2013年3月8日)した。
平壌は、彼らが宣言した「6・15」などの「合意無効と廃棄宣言」は嘘だったというのか。朝総連は平壌が宣言したことを否定・拒否するのか。
嘘と欺瞞から出発した北韓は、これまで国際社会との合意や約束を遵守したことがない。北は今まで、自らの主張などが宣伝と扇動、詐欺であることを証明してきた。
そういう平壌に疑問を抱くそぶりさえせず、従うのはどういうことなのか。朝総連の姿勢は、彼ら自身が「主体的人間」であること放棄しているようにしか映らない。そして彼らは、”盲従”の褒美として金日成勲章をもらっている。
朝総連の公式記録である「総連の主要活動日誌」は、彼らの歴史観をそのまま示した記録だ。その内容を少し見てみよう。
朝総連は、6・25南侵戦争を李承晩と米帝による「北侵」と記録している。大韓航空機空中爆破テロなど、金正日の指令で行われたテロをすべて否定し、韓国側の「自作自演」と宣伝している。
韓国大統領暗殺を試みた文世光事件とアウンサン廟爆破事件は、朝総連自身が関連している。文世光にテロ訓練をさせたのは、朝総連大阪生野支部の政治部長・金浩龍。アウンサン廟爆破テロ犯をビルマ(現ミャンマー)まで運んだ船は、後に朝総連副議長になった文東建が北に寄贈した東建愛国号だ。これらは周知の事実だ。
朝総連の北への極端な追従は結局、朝総連自身を破滅させた。朝総連を見限った同胞は、大挙して組織を離脱した。朝総連の会員は現在、60年前の20分の1に減っている。北韓住民の大規模「脱北」の前に、実は日本国内で朝総連同胞の大規模「脱北」が先行していたのだ。(続く)