平壌が朝鮮労働党在日支部の再整備60周年を迎え、朝総連に改めて盲従を命じてきた。「偉大な金正日同志の意志を頂いて在日朝鮮人運動の新しい全盛期を開いていこう」という金正恩の書簡(5月25日付)がそれだ。この書簡はテレビでも報道されたが、約20分の放送は「60年の歴史」を物語る一枚の絵も出さず、ラジオ朗読のような奇妙な放送だった。
金正恩の書簡は、独裁体制が持つ欺瞞に満ちた、空虚なエールだった。金正恩の書簡は、朝総連組織の支部や分会、朝青と青年商工会、留学同、女性同盟、商工連などを挙げて、かれらに活動の方向を提示し、特に、出版宣伝活動について細かく指令している。
書簡の核心部分である以下の件を見ると、「新しい全盛期」が、在日同胞に盲目的追従と無限の犠牲を要求するものであるのは明白だ。
「白頭山の絶世偉人たちの賢明な領導と愛の中で、総連は去る60年間栄光の発展の道を歩み、祖国と民族に大きな功績を築きました」
「総連は、あらゆる事業を徹底して偉大な首領様たちが意図し望まれた通りに行ない、偉大な将軍様の遺訓を頂いて在日朝鮮人運動の新しい全盛期を開いていかねばなりません」
「総連は、組織の中に主体の思想体系、領導体系を立てることを最優先課題にし、この事業を絶えず深化させていかねばなりません」
「総連は偉大な金日成同志と金正日同志を永久に高く崇め首領様たちの総連建設思想と不滅の領導業績を断固と擁護固守し長らく輝かせていかねばなりません」
「総連は現実的要求と条件に合わせて宣伝教養体系を整然と立て、実効性のある新しい宣伝扇動形式と方法を絶えず創造せねばなりません」
「総連と在日同胞は祖国統一3大憲章と6・15共同宣言、10・4宣言を高く頂き、祖国統一運動を力強く展開せねばなりません。総連は〈民団〉系同胞との民族的団結を強化し、自主、民主、祖国統一のための南朝鮮人民たちの正義の闘争を支持声援せねばなりません」
朝総連は、平壌からの指令は無条件に履行する。朝鮮労働党の前衛隊である朝総連の運命であり悲劇だ。金正恩がどれだけ残忍な手法で粛清を行っても、彼らは支持して追従する。この朝総連の姿勢を見るだけでもわかる。
朝総連は、1959年から1984年までの「帰国事業」で生き地獄に送った10万の北送同胞を見殺しにしてきた。北送同胞は北に着いた直後からスターリン式の粛清の対象となった。
強制収容所での体験を初めて証言したのは姜哲煥だった。姜哲煥は京都出身の朝総連幹部の子として平壌で生まれたが、9歳のとき家族と一緒に耀德収容所に送られた。10年間も地獄を経験し、1992年、収容所での仲間と一緒に脱北した。
現在、韓国に定着した脱北者は約2万7000人、日本国内にも200人余りの脱北者がいるが、朝総連は彼らを「人間のクズ」と呼ぶ。
平壌と朝総連は、首領が朝総連の民族教育を援助してきたと宣伝するが、在日同胞たちはその数十倍、数百培を組織的に搾取されてきた。
悪の体制は人々を暫らくは騙せても、長くは騙せない。親族などを人質にとられ、平壌と朝総連を信じ、彼らが要求するがままに応じた人々はみな後悔し、平壌と朝総連を信じなかった人々は、後悔していない。
ミイラになった金日成と金正日、金正恩の悪行を庇護し続けるのは人間ではなく悪魔であり、金日成、金正日同様のミイラたちだ。(続く)