米国の自由アジア報道によると、2013年末に処刑された張成澤の元側近が、中国との貿易業務に復帰しているという。金正恩政権が外貨獲得のため、追放された対中貿易担当者を呼び戻している一例といえる。
元側近はリ・グムオクという女性で、中国との貿易を行う「チョルボン会社」の社長だった。現在は人民軍総政治局の外貨稼ぎ機関に所属しており、既存の中国相手との貿易事業を再開している。北韓内の消息筋が伝えた。
リ・グムオクは張成澤が処刑される直前に姿を消し、一緒に殺されたとまで噂されていた。そのリ・グムオクが従来の業務に戻ったことについて、周囲は驚いているという。
北韓では通常、処刑された者の側近は地方に追放され、過酷な労働を強いられる。元の職場に復帰することは珍しい。特に張成澤の粛清では多くの側近が処罰の対象になっており、リ・グムオクも例外ではないと考えられていた。
リ・グムオクの現場復帰は、彼女の実績と関係がありそうだ。リ・グムオクは張成澤の片腕として、外貨稼ぎに大きく貢献してきた。実績は現政権でも評価されているといわれ、外貨不足の政権側が、背に腹は代えられぬと判断したとみられる。かつての同僚らは「リ・グムオクが外貨稼ぎ能力を発揮し、清津市と羅先市の経済に活気を吹き込んでくれることを期待している」と期待しているという。
中朝貿易の規模は、張成澤が粛清された2013年に過去最多を記録。しかし翌14年は5年ぶりの前年割れとなり、対中関係も悪化している。