【寄稿】韓日関係の国際政治学 経済は中国と 安保は米国と

危うい「二股外交」
日付: 2015年04月15日 00時00分

 新興強大国の急激な浮上は、常に国際政治に大激変をもたらした。新興大国は自分に不利な国際構造を根本から変更しようとし、既存の強大国は自国の覇権的地位を維持するため努力する。
ソ連崩壊後10年あまりの間、米国は覇権を謳歌した。だが中国の浮上は、米国をして中国を新しい覇権競争の相手として認識させた。米ソの覇権対決を冷戦(Cold War)と呼んだことにちなみ、米中の覇権競争を冷え冷えとした戦争(Cool War)と呼ぶ学者まで現れた。
米国は自らの覇権的地位をやすやすと明け渡すまい。米国と中国がそう行動することは、長年続いてきた強大国の行動原則に全く反することではない。
強大国の競争は、周辺国の国家安保と対外戦略に深刻な影響を及ぼす。特に、韓国のように地政学的に重要な位置にいる国は、強大国が戦うたびに渦に巻き込まれた。渦に巻き込まれないためにはわれわれ自身の力が必要だ。
弱小国の対外政策は大きく2つ。危険ではあっても独立と自尊心を保つ「バランシング」か、それとは対極的な「バンドワゴニング」(便乗)だ。朝鮮王朝が中国に対してとってきた選択は後者である。
冷戦時代の韓国は、積極的に米国と協力するバランシング戦略をとった。東西冷戦が終息した後は、米国からは安保利益を享受する一方、中国からは経済的利益を追求することができた。ソ連ともうまく付き合い、北韓とも円満な関係が維持できる余裕が持てた。ところが中国の急浮上で、余裕のある時代は終息しつつあるようだ。
韓国は、中国とは経済、米国とは安保という二股をかけることが難しい状況になっている。米国は韓米同盟の一層の強化を要求し、中国は韓国が米国と距離を置くことを望む。
韓国が躊躇している間、日本は素早く米国との同盟強化を通じて北東アジアの変化した構造に対処しはじめた。麻生太郎副総理は「われわれは過去1500年以上の長きにわたり、中国との関係が極めてスムーズにいったという歴史は過去にない」と公言。中国に立ち向かえる同盟国は日本だけであることを米国に知らせようとした。
これまで日本を「北東アジア安保の礎石」といってきた米国は、韓国を「北東アジア安保のリンチピン(留め金)」という言葉で表現した。米国が韓国をリンチピンと表現したことについて、日本の識者たちは驚いた。韓国の成長と日本の没落を象徴する言葉としても認識した。
ところが、韓国国民と政治家の国際政治観は、日本との友好関係をほとんど不可能にしている。韓国がいつ日本と友好的な国になれるかを論ずるのは難しい。
韓国人は米国から核爆弾まで落とされた日本が、そして日本人と戦火を交えた米国が、なぜ今日のようにうまくやっているのか理解しがたい。しかし国家利益と戦略は、過去の敵をよき友にし、旧友を一夜で敵にする。日本との感情的な敵対関係が続く場合、韓国は戦略的破綻状態に置かれる恐れがある。
米中関係が国際政治の核となる21世紀、韓国が中国と親しくし続け、日本とは敵対し続ける場合、韓国は最終的に米国と敵対関係になるかもしれない。仮に米国が韓国と日本のどちらか1国を戦略的パートナーと選択せねばならない状況が来たら、米国はどちらを選択するだろうか。
国際政治は道徳律ではなく、国家利益によって左右される。韓日関係の悪化はこれ以上放置されてはならない。
(李春根・韓国海洋戦略研究所研究室長)


閉じる