【寄稿】祖父に劣らぬ正恩の戦争観

反省せず、しらを切ることを覚え
日付: 2015年04月01日 00時09分

 もう5年になる。白翎島沖で韓国の哨戒艦天安が北韓軍の魚雷攻撃を受けて撃沈された。国際共同調査団の科学的調査とシミュレーション、そして決定的な証拠である魚雷推進体の発見により、天安艦爆沈の物理的な原因は明らかになった。にもかかわらず、北韓はしらを切っている。それどころか、検閲団を送るから事実かどうか確認させてくれといってきた。
北韓が共同調査を要求したのは、天安艦爆沈事件が初めてだった。それ以前は、検閲団や共同調査などという言葉すら口に出すことはなかった。
ところが天安艦事件以後、北韓の共同調査要求は恒例になりつつある。昨春、北韓が飛ばした無人偵察機3機が墜落しているのが発見された。韓米共同調査チームは、無人機の飛行経路、コンピューターを分析した結果、飛行計画と飛行経路を割り出した。出発地点も復帰ポイントも北韓だった。しかしかれらは否認し、ここでも共同調査を要求した。
共同調査要求は、韓国だけでなく米国にも向けられた。昨年11月に起きたソニー・ピクチャーズのハッキング事件について、米FBIが北韓による犯行であると発表すると、北韓は米国を相手に共同調査を要求した。
今や北韓は、決定的な証拠を出されても開き直るようになった。共同調査を要求し、さも潔白であるかのように振る舞えば、うやむやにできると考えているようだ。
しらを切る方法を覚えた北韓は、韓国領土に銃弾や砲弾を浴びせることをためらわなくなった。2010年の延坪島砲撃後は、できないことなどないと確信したかのようだ。昨年10月には韓国から飛ばされた風船ビラに高射砲を撃ち、銃弾の一部が韓国側に落ちた。北韓は、今後の対北ビラ散布に対し、銃弾ではなく大砲やミサイルで応じると脅している。
金正恩の執権以後、北韓の挑発リスクはかなり高まっている。核実験と長距離ミサイル発射だけではない。数十回にわたってさまざまな種類のミサイルを発射。新型空対空・艦対艦・艦対地・潜対地ミサイルと新型放射砲も試験発射した。無人偵察機の侵入テストや、特殊戦部隊とAN‐2機の訓練を強化し、米国へのサイバー戦も実行している。
北韓がミサイル発射実験や訓練の強化、そして挑発をするのには理由がある。金正恩は2013年「3年以内に革命武力で統一する」と明言し、2014年には労働党創党70周年になる2015年を「統一大戦の年」と宣言した。
金正恩は、北韓住民と軍を戦争の危機の中に追い込んでいる。金正恩の宣言は、労働党創党記念日である10月10日までに戦争の準備を完了せよということを意味しているのか、その時までに武力で韓半島を統一せよということなのかは明確でない。ただ一つ明らかなのは、金正恩の武力統一にかける意志は、6・25戦争を起こした彼の祖父・金日成に劣らないということだ。
南北は、今年で70年になる分断状況を克服し、光復70年を祝いながら今後の70年を設計する必要がある。しかし北韓は天安艦事件から5年経っても46人の犠牲者への謝罪や再発防止の約束はしていない。労働党創党70周年に焦点を当てているようだ。韓国とは首脳会談はおろか、高官級会談すら拒否し、5・24措置(天安艦爆沈事件後に韓国側がとった制裁措置)の解除だけを要求している。
北韓は、自らの要求が受け入れられないからといって、武力に訴えようとしてはならない。仮に局地的な挑発が起きれば、どうなるか。無反応など期待してはならない。
2013年の韓米共同の局地挑発対応計画には、在韓米軍はもちろん、在日米軍や太平洋司令部の打撃戦力も報復に参加するとされている。金正恩政権は、米国など国際社会の対北韓制裁と圧迫を甘く見てはならない。それは今後も強化され続けるのだから。
(金烈洙・誠信女子大教授)


閉じる