大韓民国への反逆 その連鎖を絶て(46)

的中した金日成の予想 状況はより悪化
日付: 2015年03月11日 00時00分

 朴大統領は従北反逆勢力をいつまで放置するのか。先週、マーク・リッパート駐韓米大使が従北派の男に刃物で襲われて重傷を負った。犯行前後の犯人の言動などから、外交使節個人に対する単純な攻撃ではなく、明らかに韓米同盟の破壊を狙ったテロ行為だった。韓国の「内戦」は、冷戦型から熱戦型に変わってしまうのだろうか。
テロ犯の金基宗(56)は、大学時代から左傾民族主義に染まった主思派の文化工作員だ。金容疑者は拘束後、1985年に駐韓米大使館に進入し、星条旗を燃やしたことを告白した。2010年7月には、重家俊範・駐韓日本大使(当時)にコンクリート片を投げ、昨年5月にも日本大使の車に卵を投げつけた。従北のアイデンティティが、反韓・反米・反日にあることが彼の行動を通じてもわかる。
少なからぬ専門家たちが、今回のような従北派によるテロの可能性を警告してきた。だが、憲法裁判所が従北政党であった統進党に解散を命じても、朴槿惠政権は何の措置もとらなかった。内乱陰謀罪に問われた李石基に最高裁が有罪判決をいいわたしても、初歩的対応すらしなかった。逆に、金正恩との信頼関係構築を強調したほどだ。
朴大統領の心中を察した警察当局は、解散させられた統進党の元党員らが2月28日、「朴槿惠退陣」と「国情院解体」を求めた都心での集会とデモ行進を許可。今回のテロ事件も、今のところ個人の犯行として捉える構えだ。これでは韓国の国家正常化や、法治の回復は望めない。日本当局が朝総連の存在を許しているのと同じだ。
金大中・盧武鉉政権が終わって7年も経っているのに、親北政権が築き上げた国家的従北体系は残っている。正常化するためには、過去30年以上にわたる韓国左傾化の経緯を冷静にかえりみるべきだ。
前回、平壌は大局に弱い日本社会の弱点を徹底的に研究して対日工作に臨んだ、と指摘した。韓国の事情もまったく同じだった。
自由民主主義体制は全体主義の攻撃に脆い側面がある。今の韓国の政治・社会的混乱の根本原因、つまり、韓国が北の戦略にはまる場面について語られた決定的な記録がある。
金日成は1977年12月、平壌を訪問した東ドイツ共産党書記長のホーネッカーにこう言った。ドイツ統一後に公開された記録だ。
「南韓で朴正熙のような人が政権を取らず『民主人士』が政権を取るなら、その人が反共主義者でも、そういう人が権力を握れば、統一問題は解決できます。南韓で民主人士が権力を握れば朝鮮の平和統一は実現できます。南韓で民主的な状況が実現されれば、労働者と農民が自由に活動できます。外国軍隊は撤退すべきです。南韓民衆が彼らの道を自ら選択できるとき、彼らは社会主義の道を選ぶでしょう」
金日成は韓国が「民主化」すれば、民労党や統進党のような従北政党ができて対南工作が有利になり、扇動に騙された韓国人自身が在韓米軍を撤退させると予測したのだ。
内外の多くの専門家は、「軍事政権への反発で左傾化したのだから、民主化すれば消える」と楽観した。しかし的中したのは金日成の予想だった。むしろ状況は金日成の予想よりも悪くなった。
盧泰愚大統領はソウル五輪の前、朝総連が年間2000億ウォンほどの工作資金を韓国に送り、それが主に若者の意識化に投入されていると憂慮したという。朝総連は対南工作を「民主化」のスローガンに合わせて展開した。これも金日成の戦略指針に従ってのものだった。(続く)


閉じる