中朝国境地帯を行き来する北韓住民の数が減少しているという。北韓当局の警備強化に加え、国境警備隊に支払うわいろの額が吊り上げられていることが理由のようだ。
金正恩体制になってから、外部の情報を遮断する目的で中朝国境地帯の警備が強化されてきたのは広く知られている。このたび最新の事情を語った国際NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」のアジア担当者は、脱北者への処罰が強化され、収容所送りを恐れる住民が、以前のように中朝を往来しなくなっていると指摘。脱北者を韓国に送る活動をしている別の女性によると、過去2年間でかつて接触していた人物の8割から9割と連絡が取れなくなったという。
中朝国境地帯でのやり取りには中国の携帯電話網が使われることが多いが、近年は北韓の逆探知システムが強化された。1、2分の通話で詳細な位置を特定される恐れがあるという。また、通信網への妨害も北韓当局によって行われており、電話自体がつながりにくくなっている。
米国の自由アジア放送(RFA)は別の理由として、国境警備隊が以前にもまして多額のわいろを要求するようになったことを伝えている。密輸業者は現在、利益の30~40%を国境警備隊員から求められる。以前は10%程度だったという。