大法院(最高裁判所)は22日、13人の大法官(最高裁裁判官)全員合意制で、李石基などの内乱扇動容疑を有罪としたソウル高裁の判決を確定した。これで、李石基らが主導したRO(革命組織)の内乱関連事件は、国情院の公開捜査開始から約1年5か月で法的決着をみた。
しかし、大法院が示した量刑は軽く、それは国家安保と自由民主体制守護の次元であまりにも多くの問題点を残した。自由民主の法治守護の責務を担う司法府としての役割を十分果たしたといえないからだ。
今回の大法院の判断は、憲法裁判所の統進党解散決定(昨年12月19日)とさまざまな点で比較できる。憲法裁判所は膨大な証拠を審理して統進党の本質とROの実体を究明し認めたのに対して、大法院は主に下級審の法理適用に瑕疵があるかどうかだけを検討した。それも、2013年5月の秘密会合を中心にしてのことだけだった。
結論的に、大法院は統進党とROの本質や歴史的経緯などには関心がなく、裁判官の前に提出された「証拠」が十分かどうかだけを中心に判断した。裁判官がなすべき真実に対する最終的判断を、提出された証拠を機械的に検討することで下したとみられる。これは医者が患者を診る際に、各種検査を行い、検査結果の数字だけを解析する傾向にも似ている。
裁判官の立場では国家転覆を企てた内乱陰謀でも一般の刑事犯と同じ次元で取り扱わざるをえないと思うかもしれない。だが、休戦中ではあっても敵に与して「戦争行為」やテロを計画し、共同体の生存を左右しかねなかった今回の事件を、平和な社会で起きた刑事事件として裁くのはどうだろう。北韓に拉致された人々のことを長い間、刑事事件の証拠主義で対応してきたため救出に失敗した事例からも、それがいかに空しいことなのかがわかる。
韓国の第6共和国(ソウル五輪後)の司法府が、韓国社会の左傾化に追随・迎合し、憲法が禁じている遡及立法に抵抗せず、「民補償委法」や「真実和解委員会」などに屈して法治破壊を放置・幇助した罪は前回にも触れた。政治権力、特に左翼・従北勢力は司法府も「社会変革」の道具として彼らの味方にするため工作してきた。そしてそういう左傾化の結果、裁判官はときには想像もできないほど奇怪な論理で判決を下した。
例えば大法院は「光州事態」に関する再審(1997年4月)で、光州でのデモ隊(1980年5月)を「憲法の守護のため命を惜しまず形成した愛国的な結集体で、かつ準憲法機関だった」と判決した。世の中に無秩序な暴力デモ群衆を「準憲法機関」と見做みなし、そう呼んだ判決は歴史にないはずだ。
いずれにせよ、解散された統進党の残党や彼らと連帯してきた第1野党をはじめ、法治破壊を行う勢力は韓国社会の隅々に存在している。彼らの多くは憲法的判決に組織的に反発・抵抗している。そして、憲法的決定までを取り戻すため、これからもっと過激な活動に走る可能性が高い。平壌側はすでに従北勢力に徹底闘争を指令している。「朝鮮中央通信」は25日、李石基に対する大法院の判決を「独裁権力のあくどい策動」と猛非難している。
では、朴槿惠政権はこれをどう制圧・整理すべきなのか。今の韓国のように共産主義の挑戦を経験した国々は多くないが、米国の経験は参考になると思われる。
米国は第2次大戦のときにスターリンと共闘したため、ソ連共産党のスパイや共産党員が連邦政府をはじめ、米国社会の各階層に根を下ろしていた。トルーマン大統領はソ連との冷戦が始まると、全公務員をはじめ民間機関にまで忠誠の誓約を求めた。FBIを筆頭に連邦政府のすべての機関をこの共産党粛清に動員し、危機を乗り越えた。
朴槿惠政権もまず国家の全治安能力を動員して「公安合同捜査本部」を設置し、従北・反国家・利敵勢力を抜本捜査せねばならない。そして「利敵団体解散法」も早急制定せねばならない。これこそ真の統一準備だ。
(続く)