核開発に冬季訓練 「先軍」明らかに

非対称戦力を強化か
日付: 2014年12月16日 03時16分

 北韓が2年以内に20発以上の核爆弾を保有する可能性がある。米スタンフォード大のシーグフリード・ヘッカー教授が韓国の国会議員に対して語った。11月下旬には北韓が絡んだと思われる米ソニー・ピクチャーズへのサイバー攻撃も行われた。北韓では現在、例年以上の規模で冬季訓練も行われており、金正恩体制下でも「先軍政治」に変化がないことが改めて浮き彫りになっている。

 ヘッカー教授は過去に、核をはじめとする先端軍事技術の開発・研究を行う米ロスアラモス研究所の所長を務めた人物だ。ヘッカー教授と会ったセヌリ党の兪奇濬議員は11日、北韓は年間4個程度の核爆弾を作る技術があると伝えた。
ただし、北韓は核弾頭の小型化には確固たる自信を持っていないようだ。そのため、追加の実験を行う可能性があるとヘッカー教授は懸念を示した。追加実験を防ぐためには、国際社会が措置をとる必要があるというのが同教授の主張だ。
一方、11月末には北韓当局が絡んでいると思われるサイバー攻撃が起きた。攻撃対象になったのはソニー・ピクチャーズ。同社の未公開映画の映像や幹部らの個人情報が流出した。同社は25日に映画「ザ・インタビュー」を全米で公開する予定だが、同作は金正恩をモチーフにした人物が暗殺されるまでを描いたコメディーだ。
今回攻撃の発信元となったのはタイのバンコクで、捜査にあたっているFBIも北韓による攻撃とは断定できないと判断を留保している。朝鮮中央通信も北韓当局の関与を否定し、「攻撃は朝鮮のシンパが米国の侵略主義に終止符を打つために起こした正義の行為である可能性がある」と報じた。なお、サイバー攻撃を行ったのは「平和の守護者」と名乗っている。
しかし、攻撃手法は過去に北韓が行ってきたサイバー攻撃と酷似しており、北韓は約半年前から上映禁止を求めて警告を発していた。
その北韓では11月初旬から大規模な冬季訓練が行われている。韓国軍関係者が10日、明らかにした。
訓練といっても、一般的に行われる戦車を用いた砲撃訓練などではなく、最大で1万5000人の特殊部隊が参加する浸透訓練だ。この訓練は例年に比べて1カ月も早く始まり、動員された兵士の数や訓練回数は20倍にもなるという。
今回の冬季訓練にはAN‐2と呼ばれる木製のプロペラ機が導入された。型は古いがその分最新のレーダーで捕捉されにくく、韓国への浸透には適した機種だ。北韓軍はAN‐2を約300機保有しているとみられ、韓国国防部は警戒を高めている。
このことから明らかになってくるのは、北韓が非対称戦(相手が持たない武器や戦法で戦うこと)の戦力を高めているということだ。北韓の仮想敵国は韓国だが、正面突破で韓国軍を撃破するのは至難の業だ。そのため先制して即時に韓国軍の機能を奪うサイバー攻撃や、特殊部隊の戦力に磨きをかけているとみられる。


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