政府ではなくわれわれが歴史を切り開こう

日付: 2014年12月03日 03時24分

 今年も年の瀬が押し迫ってきた。今年1年を反省し、新年を迎える心構えが必要な時期だ。振り返って見ると今年は大韓民国という共同体においてあまり愉快な記憶が残っていない。
政府の政局主導能力や危機管理能力が試されたが、法治、経済、安全と安保環境において悪化、後退した1年という気がする。国家的に見て、韓国は朴槿惠政権2年目を浪費したとしかいいようがない。
政治が国民を本当に疲労させた。従北派と野党強硬派の連合勢力は、一昨年の選挙結果を承服しようとしていない。過半数に承服しなければ民主政治制度とはいえない。
そして、セウォル号沈没事故があった。不幸なこの海難事故は、未熟な災難報道の煽りであらぬ方向に展開した。全国民、いや全世界がテレビ中継を通じて修学旅行に出た学生たちが船とともに沈むのを見た。沈みゆく船内で死を迎える若者たちが残した通信記録は、今まで韓国人が経験しことのない恐怖と憤怒を呼び起こした。
慌てた大統領はなんと海洋警察の解体を宣言した。安保機関でもある組織をこんなに軽率に解散していいのか。海警解体を宣言する前に海軍などと協議はなかったという。戦争中の国で許される措置だろうか。
常に何かしらの政争化を窺っている反朴槿惠勢力にとって、この惨事が絶好の闘争素材となった。事故の犠牲者を支援する特別法が作られ、セウォル号政局はまた法治の不全と後退をもたらした。
国会から改憲論が出た。多くの人々が大統領権限の制限を主張する。だが、今の韓国の政治混乱の根源は、絶対的権限を持ちながら機能不全に陥っている国会だ。国会は内乱陰謀で重刑が言い渡された李石基に対して独自の懲戒除名をしていない。
国民に対する最小限の礼儀も自浄能力もない国会議員が改憲を主導するとは言語道断だ。多数決の常識や立法も責務も無視する国会は経済にも足枷になっている。国家安保に至ってはいうまでもない。
国連総会が北韓人権決議案を通過させるのに、当事者の韓国は同族の人権惨状に無関心だ。国会はいつ北韓人権法を成立させるのか。政府も北韓住民の人権より金正恩との信頼プロセス形成に関心を持っている。
東アジアの現状変更は中国の膨張主義によってすでに始まった。北韓が核ミサイルを実戦配備するのはもはや時間の問題だ。弾道ミサイル搭載の潜水艦も開発中だ。だが今、大韓民国はその瞬間に備えているのか。
韓国は中国とFTAを妥結し、経済領土を拡大したと自慢する。だが「経済領土の拡大」は安全を保障するのか。そして北韓の解放は、経済領土の拡大より緊急性や優先順位で低いのか。
日本は米国のみならず、アジア太平洋地域で同盟関係を拡大している。韓国は、韓国のミサイル防衛網整備にさえ反対する中国に安保を委ねるのか。
金正恩の運命が終わる日がいつになるかはわからない。だが、遠からず滅びるのは間違いない。韓国人は今その瞬間に備えているか。
歴史を見よう。韓半島の住民のほとんどは1945年8月14日まで、次の日に日本が敗亡することを知らなかった。解放は他力本願だった。そしてその結果は韓半島の分断だ。分断70年間で虐殺された同族の数は、植民地治下の犠牲者よりはるかに多い。
朴大統領は日本に対して「真正性」を求める。中国に対しても真正性を求めてほしい。軍慰安婦問題は重要で、今中国で人身売買される脱北女性の悲劇は重要でないのか。朴政権の外交安保政策は不安だ。特に、日米を軽んじる外交部長官の親中ぶりは目に余る。
民団は商工会議所問題で2年以上紛糾した。商工会議所問題が在日の未来に最重要の懸案とは思えない。在日に必要なのは被害意識ではなく、日本社会の人種主義を乗り越える挑戦精神、勝利者精神だ。来年はきっと韓半島に新しい歴史が始まる。政府ではなくわれわれが歴史を切り開こう。


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