大韓民国への反逆 その連鎖を絶て(34)

検察が「証拠法」の改正進める理由は
日付: 2014年11月12日 01時29分

 韓国が北韓を解放して分断70年を克服するためには、まず法治を回復せねばならない。ところが法治の正常化に立ちはだかっているのが、汚染された法曹そのものだ。
この問題の深刻さに対しては繰り返し指摘してきたが、現在の法的体制では、スパイやテロ事件などの正常な捜査や証拠収集が不可能な状況だ。いわゆる「証拠第一主義」の裁判が、常識と現実を無視する傾向があまりにもひどくなったため、検察が「証拠法」の改正を進めているほどだ。
証拠法とは、証拠の種類や範囲などに対して刑事訴訟法が規定する条項を総称する用語だが、検察は国家安保に関する公安事件の捜査と証拠収集を現実的なものにする目的で、改正に動いている。近年、裁判所にまで深く根を下ろした従北派やその影響を受ける判事らが、支離滅裂な判決を下しているためだ。常識人なら、裁判の実状を見ただけでその必要性を認めざるをえないだろう。
民主労働党(現在の統合進歩党)を主な対象にして行われた一心会スパイ団事件や旺載山スパイ事件では、被告のコンピューターから北の指令文が発見されたのに、法廷で容疑を否認した被告に対し、裁判官は証拠能力を認めなかった。中には北からの指令であると提出された証拠に対して、北の指令者を証人として出頭させるよう求めた裁判官までいたという話も伝えられている。
検察の証拠法改正方針が明らかになるや、主体思想派が布陣する第一野党の新政治連合から批判と反対の声が出た。しかし裁判官の荒唐無稽な判決を導くのは、前回も紹介した従北的「民弁」の弁護士たちだ。
彼らは公安事件が明るみに出ると、まっさきに被告人の元を訪ねる。そして何が何でも容疑を否認することと黙秘を促し、捜査を妨害することから始める。そして、裁判闘争に走らせる。
弁護士に接見した被告のほとんどは陳述を覆し、黙秘をするようになる。裁判は長引き、メディアの関心を事件の実体、本質とはかけ離れた弁護士の政治闘争に誘導するのだ。
スパイをはじめとする従北・左翼の裁判闘争や政治扇動の例を、在日スパイ事件で再審中の康宗憲の例を通じて簡単に見てみよう。
康宗憲は検挙された当初も一審裁判でも、男らしく革命家らしく、自分が工作船で北へ行ったことや金日成の長寿を願い祈る歌を作詞・作曲して送ったことなどを認めた。しかし上告審からは否認する。
康宗憲は、自分は作詞・作曲などできないし、一審で認めたのは拷問によるものだったと主張。「真実和解委員会」での調査でも「私は作詞・作曲ができない。北韓にそういう内容の歌を伝えた事実がない」と陳述している(真実和解委員会第3部第2小委員会事件の報告書55ページ)。
だが康宗憲は、この報告書が発行された3カ月後に出した自叙伝で、自分が拘置所の中で作詞・作曲した歌を自慢げに掲載している(自叙伝120ページ)
康宗憲は、自叙伝の追記に、真実和解のための過去事件整理委員会が、「この事件は在日同胞留学生康宗憲に、保安司令部が不法捜査によってスパイ行為をしたとでっち上げ、判決を通じて重刑を宣告し長期間の懲役刑を強要した重大な人権侵害事件である。(中略)よって国家は、真実究明の対象者である康宗憲に不法監禁と過酷行為を加えた事実に対し同人に謝罪し、刑事訴訟法の定めたところに従い再審を進行するなど、和解のための適切な措置を取る必要がある」と述べたと記している。はたしてこの記述は事実だろうか。
(続く)


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