【寄稿】「統一はタダではない」 自力で成就する意志と巧みな外交必要

日付: 2014年10月08日 00時00分

金英秀(西江大学政治外交学科教授)

 ふわふわと漂っていた統一議論が、最近地に足をつけようとしている。周辺国も韓半島統一の可能性についてしばしば言及している。
すべての変化は統一の当事者である私たちから始まった。平和統一に進むロードマップを提示した朴槿惠大統領の「ドレスデン宣言」がもたらした効果だ。国際社会に向かって統一問題の当事者は大韓民国であり、私たちが平和統一を成し遂げると強く明言した結果だ。

 国民の統一に対する考えも以前とは変わっている。統一後に対する想像も豊富になっている。どのような未来がくるのか、その未来が私に役に立つのかを、各自が計算している。
北韓に急変事態が発生し、治安が極度に不安定になって数多くの死傷者が発生する場合、私たちはどうするべきか。これも統一の予測シナリオの一つとして真剣に議論されている。また、中国が北韓の内情に介入する場合、どのように対処するか。国連が介入して国際的原則に準じて北韓の状況を管理しようとする時、どう対応するのか。
ドレスデンで構想を語る朴大統領
 統一は当然私たちが成し遂げるという私たちの常識とは異なり、周辺情勢と国際的原則はそうたやすくはいかない。統一が近づいている状況で私たち主導の統一の正当性を理論化し、他国を説得する努力をしなければ、近づいた統一を逃す可能性が高い。
自由民主主義価値に基づいた平和統一を成し遂げるためには何を準備するべきか。大韓民国の体制の優越性を土台に、北韓の変化を導いて統一の混乱を最小化するためにはどのような手続きを踏まなければならないのか。
最初に、民族自決権を積極的に活用し、統一の機会を逃さないようにしなければならない。特に南北が当事者であるとの原則を強調することによって、韓半島問題の国際化を防がなければならない。「強行規範」(Jus Cogens。いかなる法からも排除できない規範)の性格が強い民族自決権を前面に出し、周辺4強(日米中露)だけでなく国際社会のリーダー国家がこの原則を支持できるように説得しなければならない。
二番目に、国連が統一過程に役に立つよう、賢く活用しなければならない。何より安保理を通じて強大国の介入を遮断しなければならない。武力行使禁止、内政不干渉、主権尊重、領土保全、主権平等などを周辺国の干渉を排除する論拠として活用し、同時に私たち主導の統一を可能にする当然の論理として積極的に活用しなければならない。要するに、大韓民国が状況を主導できるように、国際法的解釈と政治外交的努力を併行する知恵が必要だ。
三番目に、私たち主導で統一を成し遂げるためには、何より北韓住民の心をつかまなければならない。持続的な人道的支援で私たちの心を伝えなければならない。また、脱北同胞の定着支援を通じて北韓住民に新しい代案を提示しなければならない。
統一過程では北韓住民全員が参加しなければならないという点を強調し、抵抗勢力ができないように万全の準備をすべきだ。すなわち、統一過程で排除される人がいないよう、心の統一、人の統一に比重を置かなければならない。
国連総会の決議文などを見れば、統一について韓半島の将来を論じる際には「the people of Korea」あるいは「the Korean people」という用語がたくさん使われている。これを見逃してはいけない。国連はことあるごとに韓半島問題の当事者は「コリアの人々」と明記しており、彼らがこの問題を主導する人々であると指摘している。
このことから、分断は他意によってもたらされたものだが、統一は私たちの力で成し遂げるという点を心に刻まないといけない。私たちの力で韓半島を自由民主主義体制と市場経済体制にしていくことを確信せねばならない。また、統一が韓民族と周辺国にもたらす安保的・経済的恩恵に対して国際社会の共感を拡大する「統一公共外交」を積極的に推進しなければならない。
朴大統領の「ドレスデン宣言」はこのような点で非常に意義深い。3月に統一ドイツの象徴・ドレスデンで演説した朴大統領は、国際社会に統一の正当性と平和統一に進んでいくためのロードマップを広く知らしめた。今や正当性だけ強調した時代から、実行の可能性と方案を実践する時代に入っており、私たち主導の統一を完成するため、ひとつになった意志と共感の拡散がより一層求められる。統一は無料ではないからだ。

閉じる