国連食糧農業機関と国際農業開発基金、世界食糧計画の3団体は16日、「2014世界食糧不安状態」という報告書を発表した。それによると、北韓では人口の3分の1に相当する930万人が飢餓状態にあるという。20年前の480万人に比べ、約2倍だ。
当時の北韓は「苦難の行軍」と呼ばれる困窮期の入り口にあり、苦難の行軍の末、約5年で300万人が餓死したといわれている。それ以上の餓死者が出る恐れがある。
今回の報告書は、国連が2015年をめどに貧困を撲滅するために策定したミレニアム開発目標の達成度を測るために実施された。飢餓人口は8億人超だが、20年前に比べて2億人、10年前に比べても1億人減っている。
しかし一部の地域では飢餓状況が悪化している。アジアでは紛争のため中東地域を中心に飢餓人口が増える国がいくつかあり、地域別にみても世界の飢餓人口の約3分の1がアジアに集中している。「サブサハラ」と呼ばれるサハラ砂漠以南のアフリカ諸国でも、4人に1人が慢性的な飢餓状態にある。
そうした中、内戦もなく、厳しい気候条件でもない北韓で飢餓人口が増えているのは、インフラも含めた農業生産システムが機能低下していることと、特権階級による農作物の占有がはびこっているためと見られている。北韓は今年、深刻な干ばつに見舞われており、飢餓が深刻化するのは避けられないとの見方が強まっている。
水不足により北韓では全電力生産量の6割以上を占める水力発電所が複数止まり、深刻な電力難になっているという。首都平壌では9月上旬に3日連続で電力供給が止まり、市民生活に大きな支障をきたしたという情報もある。
地方都市ではさらに電力不足が深刻で、停電が1週間続いた地域もあるという。