元世勳・元国家情報院長に対する国家情報院法と選挙法違反事件に対する1審判決(9月11日)で、選挙法違反(大統領選挙への介入)部分に対して無罪が言い渡された。当然のことだ。これで「大統領選挙への不服闘争」を煽動した従北勢力や彼らが牛耳る野党の狙いが当初から朴槿惠政権打倒であったことが明確になった。
一方、国家情報院法違反の部分が有罪となったのは、国家安保を無視した非現実的な判断だったといえる。
休戦中の交戦相手のインターネットを利用した政治・心理的侵略行為に対応したのは、当然の措置だ。北と連動した韓国内の従北派や利敵団体が展開するインターネット上での挑戦への対応も国家安保を守る正当な活動だ。もし、国家機関がそういう対応をしなかったら、それこそ職務遺棄といわざるをえない。
いま憲法裁判所では統合進歩党に対する政党解散の審理が進行中だ。統進党への政党解散判決が出た後は、国家情報院に罪をなすりつけようとした元検察総長の蔡東旭氏など、韓国社会に広範に根を下している親北・従北勢力を徹底的に除去すべきだ。
従北勢力の目標が、北の指令による「連邦制」統一の推進と、その障害になる国家保安法と国家情報院の解体であるのは周知の事実だが、統進党の国会議員候補である康宗憲も彼の自叙伝の中で明確に言っている。引用する。
「二〇〇〇年の南北首脳会談を契機に統一運動は『六・一五南北共同宣言』をいかに実践していくのかが問われるようになりました。南北と海外の各地域の『六・一五共同委員会』を結成し、より広範な同胞大衆に参加を呼びかけていったのです。私も『六・一五共同委員会』の日本地域委員として、そうした運動に関わっていました」(自叙伝169ページ)
在日の従北派は当然、「6・15宣言」と「10・4宣言」の実践・履行を叫んでいる。その元祖である韓統連が8月の集会で採択した「決議文」も平壌の対南煽動に盲目的に従うものだ。こちらも引用したい。
自主・民主・統一運動をさらに前進させる強い決意をもって以下決議する。
一、セウォル号特別法を制定しろ!
一、韓米合同軍事演習「ウルチ・フリーダム・ガーディアン」を中止しろ!
一、6・15共同宣言、一〇・四宣言を履行しよう!
一、統合進歩党に対する弾圧策動をやめろ!
一、統一・独立烈士の精神を継承し、自主・民主・統一運動を強化しよう!(2014年8月、セウォル号特別法を制定しろ! 自主・民主・統一運動を前進させよう! 在日韓国人集会 参加者一同)
ところが従北派は、彼らが平壌から単なる走狗扱いをされることに対して、怒ることも抗議することもできない。平壌はその時々の矛盾する主張や指令を従北派に強いることで、従北派を笑い者にしているにもかかわらず。
例えば今まで南北間の合意書について、韓国当局は一度も破棄を明言していないのに、北側は何か気に食わないことがあれば、南北間の合意書の破棄を宣言するのがほぼ習慣になっている。最近の例だけを見ても、北韓労働党統一戦線部の祖平統は09年1月30日、声明を通じて「北・南間の政治軍事的対決状態の解消と関連したすべての合意事項を無効にする」と宣言した。この声明どおりなら、7・4共同声明(72年)、南北基本合意書(92年)、「6・15宣言」(00年)、「10・4宣言」(07年)、南北軍事合意事項(国防長官会談や将官級会談)などの合意も無効化したと解釈される。
北側の図々しさは、「6・15宣言」に明記され、「10・4宣言」で確認した金正日のソウル答礼訪問すら履行しなかったことだ。それどころか、「最高司令部」代弁人声明(13年3月)で停戦協定の破棄まで宣言した。
韓統連や朝総連は、韓国当局に「6・15共同宣言」などの遵守を求める前に、金正恩や平壌に、すでに何度も何度も破棄を宣言した南北間の合意はもちろん、国際社会との合意・約束を守るように要求すべきだ。そして、「セウォル号特別法」制定を求める前に、北韓住民の奴隷状況の終息に立ち上がるべきだ。金正恩に核ミサイルの廃棄も要求せねばならない。
従北派は今、まるで金正恩や統合進歩党と運命を共にするかのように連帯と結束を誓っている。彼らの言葉は、後で取り消せない。多くの媒体に記録されているからだ。彼らが今選択し、発した言葉は、子孫にまで累を及ぼすだろう。(続く)