【寄稿】 統一の希望が見えたDMZ

いつの日か列車がヨーロッパまでつながるよう・・・
日付: 2014年08月27日 05時49分

李知雨さん
 8月3日、ソウル駅を出発し、都羅山駅まで運行しているDMZ專用列車に乗った。この列車は平和、和合、生命をテーマに最近運行されている観光列車だ。列車の中には全国のあちこちから分断の現実を実感するために訪れたわが国の人々も多かったが、外国人も少なくないことにかなり驚いた。私は世界唯一の分断国である我が国について、世界からの関心が高いことを実際に感じ、在日韓国学生の私もここを訪ねてよかったと思った。
DMZ、つまり非武装地帯は、軍事分界線を中心に南方限界線と北方限界線の間に南北4キロメートルにわたって帯状に広がっている。非武装地帯には軍隊の駐屯や武器の配置、軍事施設の設置などが禁じられている。敵対国の軍隊間で武力衝突が起きることを防ぐのが主な目的だ。
この列車の終着駅の都羅山駅は南方限界線から約700メートル離れたところにある、わが国最北端の駅である。都羅山駅へ行く途中、臨津江を渡るところで臨津江鉄橋の残骸があった。韓国戦争での爆撃で崩れて落ち、現在は渡れなくなっている橋を見て、戦争当時の様子が浮かんできて心の隅が重くなり、緊張感さえ覚えた。
長い間外国で暮らし、テレビや教科書でしか韓国戦争や北朝鮮の話に接してない私は、今までわが国が分断国だということを実感できていなかった。しかし都羅山駅に近づくにつれ兵士からの検問を数回受け、そこが軍事地域であることを実感した。
臨津江駅の展望台は、毎年の年末などにテレビでよく放送される。北に故郷があるおじいさんやおばあさんが、北の空を見ながら泣く姿もテレビに映し出されるが、その感情が率直に理解できなかった。訪問当日はそういう人の姿は見えなかったが、ここに来て自分の故郷を思いながら少しでも心が安らぐのかなと思った。そして、1日も早く統一されることを願わざるをえなかった。
DMZで記念撮影
 終着駅の都羅山駅で降りて都羅山展望台に足を運ぶと、望遠鏡で北側を見ることができる。マッチ箱のように見えるマンションには北の旗が掲げてあるが、静かで人の影はなかった。特別なことは感じられないが、ふと北の近くにいると思った瞬間、怖さを感じた。
都羅山駅から350メートル離れた都羅山平和公園には、韓半島をかたどった7246平方メートルの池があり、DMZの自然や生態系を観察デッキから見たり体験することができる。
都羅山観覧を終えてバスに乗り、南侵用に掘られた第3トンネルへ向かった。このトンネルは1978年10月に発見されたという。地下300メートルの深さにあるトンネルまでは、韓国の建設会社が設置したモノレールに乗って行けるようになっていた。
安全帽をかぶって細い道を下っていくと危機感を抱かされる。初めて深い地中に入った私は、こういう所を通ってわが国を侵略しようとした事実を思い、緊張した。トンネルまで行ってきた私は、今すぐにでも北朝鮮が戦争を起こしたらどうなるかという不安にも襲われたが、一方でこういうところを自由に往来し、体験できる現実に接し、むしろ統一が近づいているような気もした。さらに世界各国から韓半島分断の現実に高い関心が向けられ、平和統一を叶えるためにさまざまな努力が傾けられるほど、早く統一が実現されるだろうという希望を持てるようになった。
南北が統一されると、DMZ列車は中国横断鉄道やシベリア横断鉄道と繋がるという。わが国が世界の中心になるのではと想像すると、胸がぎゅっといっぱいになるようだった。長い間日本で育てられ、韓半島の平和や統一などに対する意識が希薄な私のような在日韓国人学生が、DMZを訪ねてわが国の現実を体験する機会になればと考えながら、都羅山駅を後にした。
(東京韓国学校高等部2年李知雨)


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