7月16日付統一日報に金清吉氏の寄稿文が掲載された。氏は民団兵庫県本部の元監察委員長であり、民団の重要な幹部である。いわば身内の文書であり、由々しきことであると考え、一文をしたためた。
以下の2点に絞って記す。1合意書を誰が反故にしているのか、2懲戒処分は適正だったのか。
基本合意書、最終合意書を作成する場に私も立ち会っていた。呉公太民団中央本部団長は次の3点を明確に確認し、合意書に署名した。他にも確認事項はあるが、ここでは必要ないので省く。
(1)傘下団体規定に抵触しないという前提で、統合された韓商連の一般社団法人格の取得を認める。
(2)処分を解除するには謝罪文が必要である。
(3)民団主導で統合作業を進める。
(1)について、社団側は傘下団体規定に抵触しない、コンプライアンス問題はないと明言したので基本合意書1項、最終合意書2項が合意された。
(2)については基本合意書2項の「除名・停権処分を適切な手続きを経て解除」がそれに該当する。
民団規約では停権および除名処分の解除は、「改悛の情が顕著」な時にできるとされている。「適切な手続き」とはこのことに他ならず、具体的には謝罪文を提出することである。
ところが、最終合意書の作成の際に民団に謝罪文を直接提出することに社団側は、難色を示したので大使館宛でもかまわないと妥協した。
現に社団側が一旦は大使館宛に文書を提出している事実がそのことを裏付けている。しかし、その文書は謝罪文とは認めがたい代物であった。
(3)については、民団の傘下団体として統合されるのだから当然であるということで決着した。
しかし、優先的に実行されなければならない謝罪文の提出が未だ実行されていない。
今年の6月3日に東京地方裁判所に提出された朴忠弘氏の陳述書には、「商工会議所法に抵触した状況、また民団の傘下団体規定は一般社団法人法にも抵触することから、早急に民団の傘下団体から離脱する必要に迫られることになった」との内容で自らの正当性を主張している。
これを見る限り、最終合意書2項の「民団の綱領・規約等を遵守する」という合意は端から履行する気はなかったということだろう。況や謝罪文を書く気など毛頭なかったということだ。
裁判の取り下げと処分の解除についても合意書に従えば、裁判の取り下げが先行しなければならない。事の経緯、道義的にも当然である。しかし、裁判を取り下げたという事は聞いていない。
また、合意書が交わされた時点で双方が新たな火種となる言動は自粛するのが当然である。民団は、摩擦が生ずる言動は一切自粛した。
しかし、社団はいたずらに韓国の報道関係を騒がせ、洪采植韓商連会長のゴルフ場会員権を差し押さえ、地方韓商の名称使用について日本人社会にまで文書をばらまくなど、敵対的な行動は際限がない。
まるで合意書など歯牙にもかけない傍若無人ぶりである。誰が合意書を反故にしているかは明らかである。
2の懲戒処分の適正について言うならば、一方的に傘下団体を離脱すると言うことは、明らかに組織破壊行動であるという事につきる。
民団における傘下団体は戦略的な組織であり、民団と一体の組織である。傘下団体と他の団体とでは、その関係が本質的に異なる。
それ故に民団規約の傘下団体規定によって民団と傘下団体の関係性を具体的に示している。
名称の変更、一般社団法人の取得等はもちろんのこと、傘下団体の認証および取り消しは、民団中央委員会の承認が必要であることは誰もが知っている。
しかし、彼らはこれら一切の事項を無視し、一般社団法人を取得、あまつさえ一方的に傘下団体からの離脱を計った。直轄措置によって組織破壊工作を未然に阻止し、その首謀者を処分するのは当然のことである。
(在日本大韓民国民団中央本部副団長 林三鎬)