北韓のEMP兵器に専門家が警鐘

国防部「開発まだ」と楽観
日付: 2014年08月01日 02時46分

 国防部の金民錫報道官は7月28日、北韓のEMP兵器の開発が進んでいるというジェームズ・ウールジー元CIA長官の証言について、「EMP弾の技術自体が先進的な技術であるため、北韓がそれを開発するだけのレベルにはまだ達していないだろうと見ている」と述べた。ウールジー元長官は23日、米下院軍事委員会の公聴会に提出した書面で、「北韓のような国々がEMP攻撃に必要な主要構成要素を確保しており、ロシアや中国にすぐ追いつくだろう」と分析していた。
EMPとは電磁パルスの頭文字で、爆発の際に発生する強力な電磁波により、コンピューターをはじめとする電子機器を無力化させる効果を持つ。ウールジー元長官によると、EMP弾は「スカッドミサイルのように、海岸や洋上の艦船から発射できる単純な弾道ミサイル、低軌道衛星を打ち上げられるロケット」に搭載可能で、「ガンマ線と火球を発する低爆発力の単純な核兵器」でも代用可能だという。
元CIA長官だけでなく、歴代の韓国国防部の関係者や傘下の国防研究院(KIDA)は、一貫して北韓のEMP弾開発について言及してきた。開発する可能性は非常に高く、対策を立てないといけないとの指摘も行ってきた。
一例として、李相憙・元国防長官は08年の国政監査で、「軍は、北韓がEMP弾を開発する可能性を念頭に置いて対処していく」と述べている。09年6月には、ハンナラ党(現セヌリ党)「北韓の核・挑発特別委員会」が、国会でKIDAから北韓の核開発への対応態勢などについての報告を受けている。当時KIDAは「北韓は最初から小型核弾頭の技術を試しており、ある程度成功したのではないか」と推定。「北韓は核兵器をEMP弾の形で活用することができる」とまとめた。北韓は核兵器を殺傷目的ではなく、電子機器を多く使用する韓国軍の兵器体系を無力化する目的で利用できるということだった。
KIDAは具体的な攻撃の想定も行っている。想定では、韓国の東海上の上空40~60キロで20キロトンの核爆弾が爆発した場合、北韓地域を除く韓半島全域の電子化された武器が無力化される可能性がある、というものだった。
現在、韓国軍は有事の際、北韓のEMP攻撃にはほとんど無防備状態だといわれる。国防部が2012年の国政監査で公開した資料によると、韓国軍にはEMP防護能力が求められる施設が221カ所あるものの、わずか3カ所にしか防護能力がないことがわかっている。
金民錫報道官は「おそらくまだ開発までできていないと見ている」と述べたが、最悪のケースを想定して対策を急ぐべきだろう。


閉じる