韓米首脳会談 国家の「復元力」を回復せよ

日付: 2014年05月01日 03時27分

 韓米首脳会談が25日、ソウルで行われた。両者が顔を合わせるのは今年3月以来。日本を訪れ、東南アジア諸国に向かうまでのあわただしい日程だったが、両者は韓米連合軍司令部を訪問。北韓の核に対する韓米の協調ぶりをアピールした。韓米大統領がともに連合司令部を訪問するのは、初めてのことだ。
戦作権の移管時期を延期
朴槿惠大統領とバラク・オバマ大統領は会談で、戦時作戦統制権(戦作権)の韓国軍への移管を再延期することなどを決めた。戦作権は現在、韓米連合司令部が持つ。韓半島有事の際には在韓米軍司令官が作戦権を持ち、韓国軍はその指揮下に入るというシステムだ。
戦作権の移管は、韓半島の安全保障に対する在韓米軍の影響力を大きく削ぐことになりかねない。韓米同盟の解消や在韓米軍の全面撤退につながる可能性が高いからだ。
戦作権の移管は盧武鉉政権時代の2007年に韓国側から提起。当時の韓米は12年を予定して進めていたが、李明博政権時に交渉が行われ、15年まで延期していた。朴大統領には今後、安全保障という大局的な視点から、米軍の駐留継続をしっかりと明確に決めてもらいたい。
一方、朴大統領は北韓の核兵器の実戦配備が間近に迫った今も「韓半島信頼プロセス」という悠長な夢を描いている。北韓が4回目の核実験を行おうとしている状況での対応も甘いといわざるをえない。朴大統領は4月23日、中国の習近平国家主席に連絡し、北韓の核実験を止めてもらえないかとお願いしたという。
しかし駐米中国大使が、米国が中国に北韓のコントロールを求めていることについて「ミッション・インポシブル(不可能な任務)だ」と発言したのだ。習主席は23日の朴大統領の依頼に対し「両国は北韓の核保有に反対する一致した立場を取っている」などと返しているが、その本気度はわからない。外国に頼るばかりでなく、自国の国家戦略として、対北姿勢を再考すべきだ。
慰安婦問題で進展を
話を韓米首脳会談に戻すと、オバマ大統領は会談後の記者会見で、従軍慰安婦問題に触れた。オバマ大統領は「慰安婦問題はひどい、実にひどい人権侵害だ」と述べた。さらに、「何が起きたかについて、正確で明らかな説明がなされるべきであり、安倍総理や日本国民は、過去とは誠実に、公平に認識されるべきものだということを知っている」と付け加えた。
この発言を日本政府はしっかりと受け止めるべきだろう。また、オバマ大統領は前出の発言後に「ただし、両国が共通の価値観を認識して未来に進むことも重要だ」と述べていることに、韓国政府はより大きな注意を払うべきだ。
戦作権の移管については、2期前の政権で大きく揺らいだ韓米同盟を強固にするため、しっかりと取り組まなければならない。対北対応については、国連までが北韓の人権に真剣に取り組み始めている今、韓国が主導権を握らないといけない。北韓人権法さえ国会を通過できず、国連の人権調査事務所の設置に二の足を踏み、対応は中国頼みではいけない。
米国を代表する対北人権活動家のスーザン・ショルティ氏は韓国メディアに対し、北の人権問題から目を背ける韓国の政界は、「自分だけが助かればよいと考えるセウォル号(4月16日に沈没)の船長と何ら変わりがない」と指摘した。この言葉を重く受け止めるべきだろう。
現在韓国では「復元力」という言葉が盛んに使われている。セウォル号が船体のバランスが崩れた際の「復元力」を失っていたということから、よく使われるようになった。
セウォル号の沈没については、韓国社会の”病”が表出したものといえる。それは法と秩序の乱れだ。政・官・財・学のどこでも、建国精神を忘れ、個人を優先する「韓国病」を従北勢力が広めているためだ。「復元力」を発揮し、法治国家として国を立て直すべきだ。


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