<コラム>民団はなぜ総連会館競売を見過ごしたのか

日付: 2014年04月23日 00時00分

 2012年7月競売にかけられた朝総連中央本部建物・土地の落札者が3月24日、ついに決まった。東京地方裁判所は再入札で次順位買受人である不動産投資業会社「マルナカホールディングス」に売却する異例の決定を下した。落札価格は22億1000万円だった。
朝総連は即日、裁判結果に不服として東京高裁に執行抗告を申請し、司法記者クラブで記者会見を行った。総連中央権利福祉局の陳吉相局長らが臨席し「50億1000万円(再入札で最高価をつけ、その後書類の不備で資格取り消しとなったモンゴル企業の入札価格)の半額にもならない価格で、債務者として損害が大きく、法律的にも問題が大きい」などと反論した。
日本のメディアは、明確な手続きの違反がない限り東京地裁の決定が変更される可能性は低く、総連は「北韓の駐日大使館」とも称される中央本部から退去するしかない危機にあると報じている。
もちろん、実際にそのようになるかは未知数だ。総連側は法制度的な瑕疵があると主張しており、拉致問題などでの交渉を続ける日本政府と北韓政権間の政治的取り引きの対象になる疑惑もある。
朝総連本部は北韓政権の対南工作の最前線司令部だ。総連組織は、韓民族の歴史上でも際立って悪辣な北韓政権を支持し、北送事業や拉致への加担をしてきた。また、金日成からの3代世襲政権を延命させてきた中心だ。
総連本部建物は「反民族体制」である金氏王朝を支えた中心的な場所だった。北送された同胞たちは、1959年の事業開始から、1人あたりの持参金4万5000円を除く全財産を総連に献納した。その会館はこのままなら、日本(の企業)の手に渡る。しかし在日韓国人の求心体を自称する民団は、それを黙って見過ごしていいのだろうか。
ある民団幹部は「内部で経済人に応札してみたらどうかという話は出たが、それだけで終わった」と述べ、「落札しても日本政府が快く渡すわけがないといった、半ばあきらめた雰囲気だった」と伝えている。自身が応札を検討したという別の幹部は「個人が落札することができる物件ではないということがわかって諦めるしかなかった」と述べ、「盧武鉉政権から李明博政権まで青瓦台と何回か接触したが、『いい考えだ』という言葉が出ただけで政府も動かなかった」と話した。
民団は数年にわたって韓商連問題に労力を費やし、購入できたかもしれない総連本部建物の競売には目をつぶった。目の前の大きな成果を逃したことは、悔いても悔やみきれない。
総連本部の建物購入は、在日同胞とその次世代に、同胞の歴史を伝える「教育の現場」になる。さらに、そこに太極旗を掲げることができれば、在日同胞の”南北体制戦争”に終止符を打つことにもなる。それだけでなく、「統一韓国」に先駆けた行動として、日本の韓国統一支持につながるという効果も見込めるだろう。
民族団体であれば、自主的な民族意識を持つべきであり、実践をともなう必要がある。民団はその点でどうだっただろうか。この結果に対し、猛省が促される。(ソウル=李民晧)


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