北韓の無人偵察機発見 日本製の部品で独自開発か

軍の展開などを監視か 攻撃機によるテロの懸念も
日付: 2014年04月09日 00時00分

白翎島に落ちた偵察機
坡州に落ちた偵察機
 北韓がNLL(韓半島西海上の境界線)の南側に砲撃訓練を行った3月31日、白翎島で所有者不詳の無人機が発見された。その1週間前には38度線に近い京畿道・坡州市で、別タイプの無人機が発見された。韓国国防部は4月3日、機体のバッテリーに北韓式のハングルが書かれていたことなどから「北韓から来た可能性が高い」と発表。無人機はカメラを納めた偵察機で、大統領府や韓国軍の動向をうかがっていたものとみられている。韓国軍は偵察機を察知できておらず、危機感が高まっている。 偵察機は6日にも江原道・三陟市の山中で発見された。これが3機目だ。3機とも空色のボディーに白い迷彩が施されていた。 3機の内部にはカメラが内蔵されていたが、いずれも市販のもので、軍事偵察機にしては性能が低い。しかし情報戦においては韓国にとって十分脅威となる。 白翎島で発見された無人偵察機は、プロペラ機のような形をしており、砲撃訓練当時、対応射撃にあたった韓国軍のK9自走砲の展開状況を偵察していたものとみられる。 専門家によると、地理条件や軍用施設の概要は偵察機でなくてもわかるが、戦時の軍の対応については、今回のように偵察機を飛ばしながら確認することにメリットがある。軍事挑発などを行った際に韓国軍がどのように動くかを把握することで、次の部隊展開や攻撃目標がより明確になるということだ。 24日に発見された無人偵察機は、青瓦台(韓国大統領府)を撮影していたことが明らかになった。写真はいずれも自動車の有無が識別できる程度のレベルだったというが、時速100キロ程度で午前9時台の約20秒間、青瓦台上空を飛んだ。その間、韓国軍のレーダーに察知されることはなく、北韓に戻る途中で墜落したとみられる。 機体はステルス戦闘機のような三角形に近く、三陟市で発見された機体もこれに近い。機体から回収されたカメラには193枚の写真があったが、国防部によると、画像データを送信する機能はついていなかった模様だ。 無人偵察機のボディーはレーダーで感知されにくいポリカーボネート製で、事前にプログラムされた飛行ルートを飛ぶタイプだった。航続時間は2時間ほどとみられる。 しかし、坡州市で発見された無人偵察機の情報は、発見から9日後のことだった。当初、登山客が発見した無人機について、軍は北韓の関与を示すものがないとして軽視した。 軍は
パレードに登場した大型の無人攻撃機
2010年の天安艦爆沈事件や2012年のいわゆる「ノック帰順」(北韓兵が38度線を徒歩で突破し、韓国軍の警戒所のドアをノックして亡命を求めた事件)などの初動対応でも大きなミスを犯した。 今回も白翎島で無人偵察機が発見されていなかったら、坡州の偵察機も見過ごされていたかもしれない。こうしたことから、国防部の金寛鎮長官の責任を問う声も上がっている。 無人機の技術を応用した生物・化学兵器による攻撃も憂慮されている。今回発見された偵察機では殺傷能力の高い爆弾を運搬する能力はないが、北韓軍は12年4月の軍事パレードで、無人攻撃機を披露している。 攻撃機は偵察タイプよりも大型で、脱北した複数の元軍人らも、05年ごろから無人機の開発が行われていたと証言している。管轄するのは偵察総局だ。また、2010年8月にも、白翎島近くの海上で無人偵察機と思われる物体が飛んでいるのが目撃されている。 北韓が偵察機の核心部分を独自開発していたという点と、その開発に外部の協力者がいた可能性が高いことも指摘すべき点だ。 北韓は国連の経済制裁を受けているため、特に軍事転用が可能な素材は入手しにくい状況にある。カメラやエンジンは日本製だといわれるが、どちらも入手は難しくない。 問題は、機体の平衡機能を保つための「ジャイロセンサー」が、北韓製である可能性が高いことだ。韓国軍当局は、北韓が入手困難なジャイロセンサーを独自に開発したと見ているが、部品には日本のものが多く使われていたという。 日本から北韓への軍事部品提供は、70年代から続いている。96年に江原道の江陵で座礁した北韓の特殊潜水艦(サンオ型)の内部がほぼ日本製の部品だったことも知られている。


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