北韓の人権状況に関する国連の事実調査委員会(COI)は2月17日、北の3代にわたる世襲政権による深刻な人権侵害を認めた。これに対して国際社会は厳しい反応を示している▼ワシントンポストは2月20日付の社説で、北韓の収容所における人権弾圧が、ナチスや旧ソ連の強制収容所に匹敵すると指摘。米国企業研究所のニコラス・エバースタット専任研究員は、ウォールストリート・ジャーナルへの寄稿で「中国が20回でも北韓のICC(国際刑事裁判所)への回付に拒否権を行使するように放っておけ。そうすれば、中国自身が不利になる」と、中国への批判も展開した。ボツワナ外務省は19日、40年におよぶ北韓との外交関係を断絶すると宣言した▼報告書は、北の核問題だけに神経をとがらせている多くの国にとって、人権侵害への関心も改めて喚起したに違いない。4日からスイスのジュネーブで開かれる国連人権理事会に報告書が提出されると、国連は常任理事国に北韓の反人道犯罪をICCに回付するよう要求することになる▼世界が金正恩政権を糾弾する中、韓国は青瓦台に対北窓口を設けて北韓の対南工作部署の副部長と会談し、制限ばかりの離散家族再会を、北韓が「人権国家」でもあるかのように報じた。さらには南北首脳会談まで考えているようだ▼これでは金正恩を支援しているようなものだ。国連人権委員会では、韓国代表が日本に対して慰安婦問題で有効な措置を取るよう促すという。それも重要な問題だが、中国では脱北女性が非人道的な扱いを受けていることも忘れてはいけない。