在日同胞社会の次世代育成問題  「在日同胞社会の栄光を再現する人材育成を」

曺圭瀅・在外同胞財団理事長
日付: 2014年01月01日 00時00分

曺圭瀅理事長
 在日同胞社会は、在外同胞政策の出発点だ。それだけではない。在日同胞は、今日の大韓民国が成し遂げた経済成長の基底に中心的な役割を果たしてきた。そして、韓国民団は半世紀を越えて在日韓国人社会の求心的な存在として位置づけられてきた。
 まさに在日同胞は在外同胞社会の成熟だけではなく、大韓民国発展の原動力であったと評価できる。また在日韓国人を代表する民団は朝鮮総連との分断を克服し、日本社会との共生を志向する「在日」のビジョンを同胞社会に定着させるなど、在外同胞史に大きな功績を積んできた。
 このような在日同胞の素晴らしい伝統を継承していこうとするならば、次世代の教育と育成が不可避だ。言葉を忘れた民族は、魂を忘れて究極的にはその社会に同化され影も形もなく消えてしまうと言われる。今まで在日同胞社会は後世の民族正体性の涵養のために母国語である韓国語を忘れないように民族学校を強化し、ハングル学校を開設するなど不断の努力を傾注してきた。
 しかし、最近は在外同胞財団が実施している行事や民団が行っている行事をみると、学校と教育体系の整備だけでは限界があることを感じる。朝鮮総連系離脱の次世代同胞など母国語ができる次世代を受け入れ、教育者に活用し、民団幹部に育成するなど、より一層の関心を傾ける必要がある。韓日国交正常化直後、「開かれた民団」、「包容力ある民団」として、 朝鮮総連を克服する原動力になったことも反面教師になる。
 二つ目に同胞社会とのネットワークの前面に、いまこそ在日同胞の次世代が立ち上がらなければならない。在外同胞財団が推進する多様な事業の中で既成世代が参加する韓人会長大会、韓商大会には在日同胞の参加が活発だ。しかし、次世代大会、母国研修など全世界の次世代同胞たちが交流し、ネットワークを構築する事業には、在日同胞の姿をあまり見ることができない。
 在外同胞財団は二つの政策を重点推進している。一つは海外人材のグローバルコリアンネットワーク構築であり、二つ目はアイデンティティーの確立だ。世界176カ国に700万人の在外同胞が住んでいる。教育を通じて輩出された優秀な人材のネットワーク構築と母国と共生する関係の形成が政府の国政課題だ。
 このような関係を作るためには韓国人としてのアイデンティティー確立が優先されなければならず、私たちの言葉と歴史、文化を理解することができなければならないと考えている。
 もちろん、韓国民団でオリニジャンボリーや青年母国研修を開催するなど次世代育成に力を注いできた。今後は全世界の同胞が集まる場所で在日同胞の次世代とよく出会えるとうれしい。そうしてこそ、次世代たちが母国を理解し、各国の同胞社会に対する関心を持つ契機にもなることだろう。
 さらに在日同胞の次世代が各国の次世代とネットワークを積みながら、韓国民団のような民族団体に貴重な人材として育成する好循環構造をつくることができる。
 最近日本社会の右傾化とともに韓流ブームに対する反作用で嫌韓の雰囲気が高くなっている。日本社会との真の共生のためには度が過ぎた日本の一部団体の動きに対して積極的に対応する必要もある。
 先般、韓国民団が創団67周年を契機に「次世代育成事業」を鮮明にしたことを歓迎する。在日同胞の次世代が先輩たちの足跡を越え、母国と在日同胞社会の発展だけではなく、各国同胞社会と居住国の発展に大きな足跡を残す人材に成功することを心より願っている。


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