朴槿惠大統領が当選してから間もなく1年だ。この1年間、大韓民国は発展したのだろうか。国家安保は堅固になり、社会的な活力と国民の暮らしはよくなったのだろうか。つまり大韓民国はより競争力のある国になったのか、何よりも法治が確立されたかを自問せざるをえない。
答えは否定的だ。安保は、北韓の核実験と日常的なサイバー攻撃、停戦協定破棄宣言、核活動の再開、軍事力の増強などでより厳しくなった。北韓の韓国に対する内政干渉と扇動は日に日に激化している。核・ミサイルの実戦配備は時間の問題になった。すべては、金大中・盧武鉉政権の従北路線を継承する政権の誕生を期待していた北韓が、朴槿惠政権の韓半島信頼プロセスはおろか、政権そのものを拒否したことから始まった。
国内政治は、大統領選挙結果の無効を主張する勢力によって混乱が続いている。従北勢力はもちろん、野党が大統領選挙の結果を否定する扇動に集中している。この民主政治のルールを否定する勢力は、いざ北韓の「金氏朝鮮」に対しては批判や反対をしていない。
従北勢力が国会に内乱のための橋頭堡を作ったのが摘発されて内乱陰謀で起訴され、これを庇護している統合進歩党は憲法によって政党解散が憲法裁判所に請求された。この状況の深刻さは、法治や司法制度による収拾が容易でないことにある。
国の起訴権を独占している検察が、安保・公安機関を攻撃し、裁判官の判決は法や常識に反するケースが増えている。法治が社会的葛藤を解決できない現状は、まさに「内戦的状況」だ。
民生と経済においても、昨年の総選挙と大統領選挙で示された過剰な福祉公約と、それに対する国民の期待がもたらした経済・社会的葛藤や摩擦が限界状況を超えている。企業活動の萎縮は、自由市場経済の活力と国家の成長潜在力を決定的に衰退させている。福祉ポピュリズムは、負担し難い財政問題だけでなく、人間を過剰な福祉に依存させる。この致命的な副作用について、政府と政界の対応はあまりにも甘い。
これらの問題を解決すべき国会は、国会先進化法という反憲法的な悪法のために機能していない。第1野党である民主党は、国会先進化法を悪用して国政を麻痺させている。そして結果的に従北勢力を庇護している。現在の状況は、執権勢力が自ら招いた側面も大きいが、ここまでくれば憲法の精神に合うように関連法を修正するか、政治的に合意されない場合は、国会を解散して総選挙をするのが民主政治制度の正道だ。
大韓民国の外交安保環境も岐路に立たされている。中国が11月23日、防空識別圏の拡張を宣言。軍事力による現状の変更を一層本格化した。これは、親中・反日的な姿勢を見せてきた現政府に歴史的な決断を強要している。
韓国社会では、従北勢力を含め、少なからぬ知識人やマスコミなどが親中世論を拡散させている。ところが、大韓民国の成功は、前近代的な中華帝国主義などと断絶することによって達成された。今になって前近代的秩序に回帰することはありえない。
大韓民国はまさに内憂外患にあえいでいる。しかし、建国65年で達成した奇跡や、成就の絶対値から見て、大韓民国がこれを克服できない理由がない。韓米同盟も健在だ。すべての問題は、韓国社会内部の敵と精神面の堕落に起因する。つまり自ら撒いた種が決定的要因といえよう。
危機の克服は、将来を設定する姿勢と覚悟にかかっている。朴槿惠政権は、過去の歴史認識よりも、国家大戦略を見据えるべきだ。観念論に捉われて国家大戦略を損ねてはならない。
朴大統領は自由民主主義を破壊する従北勢力を放置し、福祉ポピュリズムで国の成長力を決定的に消尽させて国家の衰亡を放置した大統領として記録されるか、それとも北韓同胞を奴隷状態から解放し、統一を開いた大統領として記録されるだろうか。手遅れになる前に、憲法でできる特段の緊急措置をとるべきだ。