朴槿惠政権が初めて迎える年末が近づいている。朴槿惠政権の成功を祈念しつつ、韓国が置かれている状況を外から見る在外韓国人の立場で、政府に切に希望することがある。
朴槿惠政権は、国内外から重大な安全保障上の挑戦に直面している。国内では従北派と、彼らと連合した野党が拒否。政権を無力化しようとしている。彼らは昨年12月の大統領選挙で、国家機関が違法に選挙に介入したと主張し、政権を否定している。
野党と検察が問題にした、いわゆる「国家情報院の政治関与および選挙法違反」疑惑は違法なのか、それとも業務の一環だったのか。さらにそれが選挙結果に影響を与えたかどうかは、裁判所が判断するはずだ。しかし、国家情報院の対北活動を執拗に攻撃することは、北の世襲暴圧体制と戦争している韓国の現状では、利敵行為にほかならない。
国家情報院の政治関与を糾弾するのは、盧武鉉元大統領のNLL放棄発言や大統領記録物の大量破棄・隠蔽を糊塗するための謀略という側面が強い。特に、選挙結果に影響を与えたという主張に関しては、全国公務員労組などが公然と組織的に行っている選挙違反の方が影響を及ぼしているはずだ。
検察内の一部勢力が、不遜な政治的意図に呼応して国家安保機関と軍などに対する攻撃に加担したことや、マスコミまでがそれに加担したのは、韓国社会の一種の国家的自殺行為だ。政府には憲法が付与した権限と国家機関を総動員し、従北反逆勢力を鎮圧することで国民の不安を解消してほしい。全国教職員労働組合を「法外労組化」したのに続き、統進党の政党解散を憲法裁判所に請求することにした決定を歓迎し、関係者の努力をねぎらいたい。
一方、敵と味方を区別できない混沌状態は、外交安保分野でもっと深刻だ。
韓国は今、同盟関係の設定と管理において歴史的な岐路に立っている。選択の基準は、韓民族の歴史上、いや非キリスト教文明圏の中で最も成功した近代国家を建設した大韓民国の建国革命の理念に従うことだ。
日本はわれわれに惨禍をもたらしたが、今は自由民主制度と同盟(米国)を共有する関係だ。共産党の一党独裁の中国は、われわれの主敵である北韓の同盟であり、われわれの生存を脅かす核ミサイルを北に拡散させ、今も庇護している。また中華帝国主義は、長い歴史を通じて、そして日本よりも近い過去(1950年勃発の6・25朝鮮戦争)に、今も続く途方もない惨禍を韓民族に与えた。
法治回復による韓国の国家正常化の最大の障害は、左翼傾向の判事が個人的信念に基づいて判決を下していることだが、外交は今、国家的ビジョンと長期的な国益に対する冷静な熟考と判断ではなく、感情によって左右されていないだろうか。
朴大統領は就任後、米国、中国、ロシアと東南アジアを訪問し、今、欧州3カ国を歴訪している。だが、日本とはまだ首脳間の接触の予定もない。朴大統領は「北東アジア平和協力構想」を提唱したが、一体、日本を抜いて北東アジアの平和協力構想というのが成り立つだろうか。
朴大統領は出国の前に、欧州メディアとのインタビューに答え、「北韓を支援する準備ができている」、「金正恩と会うのが韓半島の平和と南北関係の発展のために必要であると判断されれば、首脳会談をする用意がある」と述べた。別の取材では「(安倍首相と)首脳会談はしない方がましだ」と断言している。これを聞いた人々はどう思うだろうか。日本が北韓よりも信頼できないというのだろうか。
日本の指導者たちに歴史認識と慰安婦問題に対して要求する以上に、中国の指導者たちにも中華帝国主義に対して追及し、現在進行形の脱北者たちの惨状を救援する措置、すべての脱北者を無条件で韓国に送還する措置を要求すべきではないか?
もちろん、日本であれ中国であれ、力のない国の要求を真摯に受け容れるはずがない。どの国も力を持つ国だけを尊重するためだ。
大韓民国は幸いにも史上最強の米国と同盟を結んでいる。韓米同盟をさらに強固にすること、そのために米国に対する同盟としての義務を誠実に履行することが重要だ。具体的に政府は国防費を増やし、駐韓米軍への安保負担金を増やすべきだ。
大韓民国の生存と繁栄に不可欠なのは、日本から過去に対する謝罪を引き出すことではなく、われわれ自身の自由統一へのビジョンと覚悟だ。大統領と政府、特に外交当局は、真実を見て勇気を出してほしい。