【対談】金暎勲 × 洪熒 「再び問う 大韓民国」<下> 

「民主化」「統合」を過剰に礼賛 左右合作にはまった第6共和国
日付: 2013年08月15日 23時48分

  大韓民国は共和制開始から40年で第6共和国を誕生させた。朴大統領は、大韓民国11人目の大統領で、第6共和国では第6の大統領だ。ところが朴槿惠政権は、大統領直属の「国民大統合委員会」を発足させた。第6共和国に入って初めて大統領選挙で過半数を獲得した大統領が、なぜ国民大統合委員会を必要とするのか。圧倒的票差で勝利した李明博政権も大統領直属の「社会統合委員会」を発足させたが、これらは何を意味するのか。
 金
 民主化を契機に誕生した第6共和国が、それから26年経過した今でも大統領直属の「統合委員会」を必要としているのはなぜか。まず、このような統合委員会の存在自体が、政府機構として尋常ではない社会的対立と分裂が存在することを認めていることになる。問題は、これが事実上の左右合作という点だ。三権分立の代議政治で、政党がともすれば国会を無視して場外(街頭)のキャンドルデモなどの闘争を宣言する。これは明らかに正常な法治と憲法を超えた、内戦的な状態だ。
 洪 核心的な問題提起だ。第6共和国自体が左傾化と左右合作の歴史だ。「民主化」というスローガンのもとに誕生した第6共和国は、盧泰愚政権時か
朴槿惠大統領
ら歴代政権が法治よりも政治的解决や大衆迎合的な対処を選好してきた。いわゆる「文民政府」は、自分たちの民主化闘争の功績を政治的に誇示し、強調するように政権を運営してきた。封建的思考を脱することができなかった政治家たちが、自分たちの権力欲を美化するために、ゼロから始まった苦難に満ちた建国革命を蔑視して否定する態度を示してきた。
 金 盧泰愚政権は「7・7宣言」を発表し、さらには朝鮮労働党の路線と同じ民族解放民衆民主主義革命を追求した反国家・反体制勢力まで民主化運動勢力として認めた。彼らを受け入れる方針を明らかにしたのは、憲法的価値と法治を破壊した致命的な過ちだった。
  盧泰愚政権が反逆・不法勢力に与えた免罪符のせいで、政党は選挙のたびに、これらの反体制・反国家活動の前歴者を競って迎え入れるようになった。それが容共左派が伝統的な反共政治家にとってかわって政界の主導権を急速に掌握することにつながった。左派は憲法的価値と秩序よりも、根本的な社会変革を追求した彼らの路線と闘争方法を固守し、これを民主化に見せかけることで法治よりも革命闘争を正当化した。事実上の三権上に存在する「民主化運動関連者名誉回復補償審議委員会」(民補償委)がその「民主化」に見せかけた第6共和国の状況と構図の象徴だ。左派が掌握したメディアと文化の力によって、憲法と法治を破壊するこれらの行動への批判は封鎖されている。
 金 韓国社会は、昨年の大統領選挙で確認されたように、憲法支持勢力と憲法否定勢力が半分ずつを占めていると思う。大統領とセヌリ党は、この問題に正面から向き合おうとせずに、左右合作という形で繕っているのが現状だ。韓国社会は、宗教人まで葛藤と混乱をあおる。金日成に会った郭善熙牧師は、演出された北韓を見物して帰ってきて、北韓の宣伝を先駆けて行ってきた。
  朴政権のいわゆる「経済民主化」は、韓国経済の成長潜在力を消耗させ、平壌の民族共助と混乱戦術を呼び込み、政治的・社会的対立と分裂を構造的に深めたといえる。政府は憲法的価値を中心とした法治回復に全力を傾けず、左右合作を社会(国民)統合と勘違いした。韓国も共和制を選択した米国とフランスが経験したのと同じ内戦的な状況を避けられないと思う。対内的問題だけでなく、北韓の解放や同盟の選択と管理などの安全保障問題で衝突は避けられない。
 韓日関係と同盟の問題について、米国は同盟国である韓国と日本の不和で困惑しているようだ。そのような中で「韓国と日本のどちらをとるか」と議論するのはありえないことではないか。
  そのような不合理な状況にも神経を使わなければならない。身近な例なら6カ国協議を見ればわかる。米国の6カ国協議代表などを見ると、その時々に機能的に対応するだけの人もいたではないか。米国も感情を持った普通の国だ。金大中と盧武鉉政権は米国を侮辱したが、ある程度は自制できても我
飢餓にあえぐ北韓の子供
慢の限界がくれば怒る。そのタイミングでさらに刺激してしまったので、米国防長官が「それでは連合司令部を09年に解体しよう」と爆発した。同盟国を不必要に疲れさせてはならない。私たちの力でできることは自分たちでやらなければならない。
  韓国は米国の同盟としての義務を怠った。イラク戦争とアフガニスタン戦争に韓国は戦闘部隊を派遣しなかった。韓国は北韓の核ミサイル実践配置が迫っているのに、国防費や在韓米軍の駐留経費を増やさず、中国の顔色をうかがって米国が要求するMD(ミサイル防衛)にも参加していない。日本や中国など周辺国への批判は客観的事実に基づくべきだ。6・25戦争の時に中共は韓国を侵略した。北韓軍の捕虜を尋問したのは朝鮮をよく知る日本人だった。これこそ歴史だ。事実に反する認識では仮想現実に惑わされる。韓国が先進強大国になるにはスターリンが6・25戦争を承認したプロセスや、トルーマンが新生大韓民国を求めた過程、アルジャー・ヒスと英国外務省のキム・フィルビーが大韓民国の誕生と存続にどれだけ致命的な脅威をもたらしたかなど、観念的な歴史ではなく、歴史を動かした歴史を教えなければならない。これも建国革命の根幹にかかわる課題だ。
  同盟国との間ですら構築するのが難しい信頼関係を北韓に期待するのはナンセンスだ。自由民主国家よりも共産党独裁体制との信頼構築が可能だと考えているならば、これこそ国論分裂の原因になる。現実を無視した観念論では、経済も安保も繁栄不可能だ。李承晩大統領が結んだ韓米同盟の土台の上に、朴正熙大統領が韓米連合軍司令部を創設し、国防予算を外国の援助なしで、韓国政府の予算だけで全額編成することができるようになるのは、建国革命を開始し、血と汗と涙の30年が経った1978年。朴正熙大統領が死亡する1年前、今からわずか35年前のことだ。
 韓国は今、左右合作による架空の平和を追求するのではなく、まず共和制の建国革命を完成させなければならないということか。
  建国革命完成の基準は、個人の自由と安全を確保する法治の確立と、奴隷状態に置かれた同族の救援、つまり北韓の解放だ。北韓解放は、韓国が内戦的な状況を脱して先進国になる、つまり自分たちの生存のための課題でもある。建国革命の完成を介してのみ、19世紀を生きた祖先が近代化の失敗で子孫に残した苦しみと屈辱の歴史を克服することができる。私たち自身が私たちの未来を開拓することができるのだ。

 


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