北秘密資金凍結 過去には強い効力を発揮

制裁対象から外した中国の意図は?
日付: 2013年03月13日 00時00分

 国連安保理で決議された対北制裁案は、なぜ「金正恩の秘密資金」を制裁対象に入れていないのだろうか。韓米両国は上海をはじめ、中国内の複数の銀行に金正恩の秘密資金と推定される数億ドル規模の口座情報を入手していることがわかっている。韓国と米国は、この口座の凍結を対北制裁対象に含めようとしたが、中国が消極的な姿勢を見せたことで最終的には除外されたという。
 朝鮮日報は11日、「3回目の核実験後、中国が対北制裁に多少積極的な姿勢を見せているが、北朝鮮政権の“アキレス腱"に触れるには消極的」という政府関係者の発言を紹介した。
 アキレス腱とは、少なくとも推定50億ドルになるといわれる金正恩の秘密資金だ。朝鮮労働党39号室が管理している秘密資金は、今までスイスやルクセンブルク、バージン諸島などのタックスヘイブン(租税回避地)にある秘密口座に入金されているというのが通説だった。ところが今回、中国内の偽名口座に資金が隠されていることが外部に知られた。予想を上回る額だという。中国が口では対北制裁を唱えているものの、行動はとっていないことを示す一例だ。
 米国下院外交委員会は5日(現地時間)、「北韓の犯罪行為、資金調達」というテーマの公聴会に、05年のバンコ・デルタ・アジア(BDA)制裁を主導したデービッド・アッシャー元国務省東アジア・太平洋担当諮問官を招聘した。アッシャー氏は、対北制裁の焦点はカネに合わせなければならないと述べ「最も大きな理由は、金正恩が権力を強固にするために必要なのは核兵器でもミサイルでもなく、カネだからだ」と指摘した。
 実際、北韓の権力者の資金凍結は大きな効果を発揮してきた。米国財務省は05年9月15日、マカオのBDAをマネーロンダリングの主要懸念対象に指定し、50以上の口座に分散入金されていた北韓の秘密資金2400万ドルを凍結した。
 当時は金正日の秘密資金の全体的な規模に比べれば小さな額だと効果は期待されなかったものの、近隣諸国の銀行も口座の凍結に応じた。これにより、北韓の国際決済は麻痺した。贅沢品の搬入も遮られ、金正日にとって側近を手なずける手段だったプレゼントの配給も長期間中断された。
 金正恩の裏金は、金日成・正日時代から武器や麻薬、偽造ドル紙幣などの取引で得た不法資金だ。確実な証拠となる口座情報が把握されているなら、それを対北制裁の項目に入れるのが当然だが、中国が実際の制裁に賛同することが先決課題となっている。
(ソウル=李民晧)


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