日米との関係強化や統一への準備進めよ

日付: 2013年03月06日 00時07分

 第18代大韓民国大統領朴槿惠氏が、国政の最高責任者として第一歩を踏み出した。朴大統領は就任辞で「経済復興」、「国民幸福」、「文化隆盛」という国政の3大目標を提示した。国民に希望を与え、沈滞している現状を打開しようというビジョンであり、歓迎できるものだ。
 韓半島を取り巻く環境は厳しい。何よりも安保環境が不安であることはこの上ない。北韓は第3次核実験により、朴大統領が南北間の信頼構築を前提として設定した「韓半島信頼プロセス」は、その一歩を踏み出す前から頓挫した。
 北韓の核実験後、国際社会は米国と中国の対立構図に足を取られ、国連安保理は対北制裁についての論議だけはしているものの、事実上機能麻痺に陥っている。追い討ちをかけるように、韓半島周辺国である日本と中国、日本とロシアの領土をめぐる対立も深まっている。
 このような状況で韓国は、力を発揮しなければならない。北韓が核兵器を手にしたなら、最大の被害者はほかでもなく韓国国民であり、南北8000万の韓民族だ。この事実を、はっきり目を見開いて認識すべきだ。
 違法な北韓政権が手にした核兵器によって戦争の危機が触発されるなら、民族の生命が危険にさらされる。国家の発展も退行するのが自明だ。国家安保と国民の安全の主体は、他国ではなく大韓民国政府と国民だ。
 我々は朴大統領が就任辞で述べた「国民の生命と大韓民国の安全を脅かすいかなる行為も容赦しない」、「確固たる抑止力を土台に南北間に信頼を積み重ねるため、一歩一歩進んでいく」という言葉に注目する。新政権は北韓の挑発を許さず、その兆候が見えたら事前に遮断・対処しなければならない。北が小型核を持った以上、韓国も抑止力のレベルで自衛的な核武装に着手するため、国民の合意形成につくすべきだ。
 韓国にとって最も核心的な安保資産は韓米同盟だ。政府は韓米同盟を、単なる対中国牽制の手段や米国に対する一方的な安保依存にしてはいけない。朴大統領が何度も強調している「信頼の外交」を実現する、互恵的かつ互いに信じられる関係に発展させてこそ「真の同盟」といえる。
 これは最も近くにある盟邦、日本にも当てはまる。今年は韓米同盟締結からちょうど60年だ。停戦協定締結からも60年になる。平和はタダでは得られないという事実を再認識し、国防と韓米・韓日同盟を強固にする契機となることを望む。この実践こそ、朴槿惠大統領にとって最初の「成功の条件」となる。過去の歴史と国益は切り離すべきだ。感情を抑え、静かな対応が求められる。
 朴大統領の2つ目の成功のカギは「統一」だ。就任辞で述べた「すべての韓民族がより豊かで自由に生活する幸福な統一時代の基盤をつくる」という発言を歓迎したい。
 統一は韓国と北韓、海外同胞を合わせた8000万人の韓民族が切に願ってやまない。分断以来、世代を重ねるにしたがって統一に関する認識が徐々に薄まってきている中、大統領は国民にその意志を喚起させた。時期として適切であり、時代的ニーズを捉えた慧眼だ。
 統一は、韓半島が島として孤立した状態を打開し、国家が跳躍するためのさほど遠くない現実であり、ビジョンだ。ある日突然訪れる統一に対し、万全を期して備えてもらいたい。
 朴大統領のもうひとつの成功のカギは、国家の正統性と法治の確立だ。
 李明博前大統領は「失った左派政権10年」を整理し、国家を正常化させるものとの期待を受けて発足したものの、実を結ぶことはなかった。朴大統領が任期中にこの基盤を確立させ、法治を基本とする憲法の守護、自由民主主義と市場経済、国家正統性を確固として定立させることを期待している。ほかの何を差し置いても、それは大韓民国大統領の重大責務であることを噛み締めなければならない。
 このような国家的危機に際し、民主統合党などの野党も、反対のための反対をやめ、政府組織改編案に協力すべきだ。


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