北韓が12日、3回目の地下核実験を行った。国際社会の制止を振り切る形での強行だ。関心が集まっている実験の方法については13日午前の時点(以下同)で明らかになっていなが、過去2回のプルトニウム方式ではなく、ウラン型を試した可能性が高い。北韓の核実験に対しては、実験前から実施した場合に制裁を加えるとの声が多方面から出ており、さらなる対北制裁の強化は避けられない見通しとなっている。
|
1月22日の安保理決議の様子 |
北韓の核実験に対し、日本政府はそれまで許宗萬議長ら4人だった総連幹部に対する再入国禁止措置を、副議長5人を含む9人に拡大。国連でも韓米と連携して対北制裁強化を模索している。
国連安保理議長国となっている韓国は、金星煥・外交通商部長官が、「北韓の核実験は安保理決議の重大な違反で強く非難する」と糾弾。「今回の挑発行動がいかなる結果を招いても、責任は北韓にある」と強い口調で述べた。
国連安保理は12日、緊急会合を開き、核実験実施を強く非難するとともに、対応を検討することを明らかにしている。安保理は1月22日、昨年12月に行われた北韓の長距離弾道ミサイル発射に対し、経済制裁を強化する決議を採択。再びミサイル発射や核実験を行った場合は「重大な行動を取る」との文言を盛り込んでいた。金融制裁や船舶検査の義務化などが議論される見込みだ。
注目されるのは安保理で拒否権を持つ中国の動きだ。中国は1月の安保理決議では賛成に回ったものの、過去に何度も北韓を擁護してきた。今回の実験を受けて中国外務省は北京の北韓大使を呼んで抗議。楊潔チ外相は「国際社会の反対を顧みず、再び核実験を行ったことに断固反対する」と述べた。駐中北韓大使を呼んでの抗議は異例のことだ。
その中国に対し、米国は安保理での協調を呼びかけている。核実験前の発言ではあるものの、国務省のビクトリア・ヌランド報道官は、北韓が核実験を行った場合、「中国と完全に一致している」と連携に自信を示す発言をしている。
核実験の方法も注目されている。
朝鮮中央通信は「爆発力が大きく小型化、軽量化し、高い水準で安全かつ完璧に実行した」と発表。核弾頭の小型化技術開発が進んでいることを強調した。
北韓は過去2回の実験でプルトニウムを用いたといわれている。他国の核開発を見るとプルトニウム型からウラン型、水素爆弾へと段階を踏んで開発が行われてきた。今回は、プルトニウム型とウラン型の同時実験や「ブースト型分裂爆弾」の実験が行われたと考えられるが、詳細は情報収集と分析を重ねないと分からないだろう。
ブースト型分裂爆弾は小型化が可能で、プルトニウム型にもウラン型にも適用できる。技術的には水素爆弾の前段階にある。
北韓は核実験前から米国を敵視する発言を繰り返してきた。核弾頭の小型化は、米国本土への核ミサイル攻撃を可能にする。実際に攻撃する可能性はきわめて低いが、体制保障や米国との平和条約締結を引き出すため、北韓は危険な綱渡りを続けているといえよう。