朴槿惠当選人の第18代大統領就任に際して、建国65年を迎えた大韓民国の次期大統領と国民が一緒に目指さねばならない課題を考えてみる。
韓国は建国後65年間で11人の大統領と6つの共和国を発足させた。共和制のもとでわずか5年任期の大統領に多くのことを望み、注文はできないが、第6共和国(1988年以降)6人目の大統領となる朴氏の歴史的責務は大きい。
大韓民国が置かれた安全保障環境がどれだけ厳しいかは改めて長く説明する必要はない。大韓民国は国内外で激しい挑戦に直面している。次期大統領は国民統合を強調してきたが、この難関を克服していくために何よりも憲法を守り法治を回復させることを要請したい。
憲法が命じる大統領の責務とその優先順位は、次期大統領が就任式で宣誓する憲法第69条に明示されている。いうまでもなく、大統領の第1の責務は憲法の順守と国家保護だ。
大韓民国が直面した建国後最大の安保危機は、北韓の核武装だ。平壌の世襲独裁体制は、「核強国」であることを宣言した。金正恩政権は、南北が民族と国際社会に宣言した韓半島非核化共同宣言(1992年)を破棄した。それとともに6・15と10・4宣言の履行を強要している。
北核を廃絶させるには、まず北韓の核武装を支えた2人の元韓国大統領の行為を、法と正義に立脚して断罪しなければならない。そうしなければ、次期大統領は国家安保を崩したまま処理していない李明博大統領とともに謀略を黙認した大統領として記録されるだろう。
6・25戦争休戦以来最大となるこの安保危機を克服するために、次期大統領は我々の最大の安保資産である韓米同盟をより確固たるものに発展させなければならない。次期大統領の任期中に韓米連合司令部の解体が予定されている。専門家はもちろん、大多数の国民は韓米連合軍司令部の解体を予定どおり推進することは適切ではないと指摘し、懸念している。
大韓民国は第6共和国成立以来、成長率が急速に衰えてきた。年平均8・6%だった経済成長率は25年が経過した今、年平均2・9%まで低下した。このままいけば、次期政府の経済成長率は1%台となり、事実上成長が止まるだろう。
歴史はどのような権力も市場を支配することができないことを証明している。韓国の現状を無視した普遍的福祉にとらわれて成長の可能性が損なわれれば、今の世代が未来の世代の富と機会を遣うことになる。将来の世代を犠牲にする福祉政策は、決してとってはならない。
朴次期大統領は原則主義者として知られている。先進法治国家では、いかなる政治的約束であっても、法と憲法に先んじてはならない。朴次期大統領の公約履行には莫大な財源が必要だ。次期大統領には現実的かつ賢明な対処を望みたい。
韓日関係において次期大統領は、昨年の李明博大統領の独島訪問で冷えきった韓日関係を進展させるという課題を抱えている。両国関係は、歴史上最も密接な関係にあるにもかかわらず、非常に不安定な面を露呈している。在日韓国人が感じる日本社会の人種主義、無関心、冷笑は危険なレベルに映る。
安倍首相は、両国が自由民主主義と市場経済という価値観を共有していると再三強調している。その点は明らかだ。両国は何よりも、米国という共通の同盟国を有している。両国は政治的・感情的摩擦を懸命に管理・克服しなければならない。両国関係は、アジアの自由民主主義の発展のためにも同盟レベルに発展させることが望ましい。
朴槿惠次期大統領は、大韓民国建国革命の道程で特別な存在だ。初の女性大統領であり、最初の2世大統領だ。決して失敗してはいけない大統領だ。
次期大統領が法治で国を正常化し、統一の基礎を築くには、従北勢力の拠点となっているメディアなどの正常化をすべきだ。これには国民の協力と参加を求めなければならない。次期大統領が憲法的責務と自由統一の歴史的使命を、国民と一緒に完遂することを期待する。