北韓の朝鮮宇宙空間技術委員会報道官は1日、今月10日から22日の間に「人工衛星をロケットで発射する」との談話を発表した。11月に明らかになった東倉里からの発射で、事実上の長距離弾道ミサイルの発射実験と見られている。
北韓は4月にもミサイル発射を試みているが、その時は発射後まもなく空中爆発している。今回の発射は前回同様、「銀河3号」を用いた「光明星3号」と北韓側は発表している。発射ルートは北韓北西部の沿岸から韓半島の西海上を通過し、フィリピン東方沖に達するものと見られる。
発射予定期間内には韓国大統領選(19日)が予定されている。もし選挙前に発射となれば、保守派の与党・朴槿惠候補に有利に働くのは確実だが、今回の選挙では安全保障の面にスポットが当たっておらず、現与党の再執権を望まない北韓政権にとってのダメージは最小限になるものと見られる。与野党の候補ともに執権後の北韓との対話を示唆していることも、北韓にとっては「反発は少ないだろう」という発射実施の判断材料になったと分析されている。
北韓側は「金正日同志の遺訓を高く奉じる」とも言及しており、17日の金正日の死後1年に合わせて金正恩の手腕を内外にアピールする目的もあるようだ。
ミサイル発射予告に対し、韓国政府は1日「深刻な憂慮」を表明。「重大な挑発で、国際社会全体に対する挑戦だ」と述べた。日本政府も同日、5日から予定していた日朝協議の延期を北韓側に伝えた。
中国政府は公式声明を発表していないものの、外務省の報道官や政府高官が自制を求めた直後の発射予告だったことから、不快感を抱いているものと見られている。