“委員長はお前らが何をしているのかと仰いますが、我々も頑張っています。在韓米軍が首都圏から移転することになっており、戦時作戦権も米国から返還するようになっています。最近の世論調査によれば、我々(韓国)の安保に最も脅威的な国として米国が指目され、二番目が日本、三番目が北韓です。10年前は想像もできなかったことです。これは自主外交と民族共助を熱心にやった結果です。”
趙甲済
今日(11月17日)出た月刊朝鮮12月号に、論難中の‘盧武鉉と金正日の対話録’の核心内容を確認した記事が掲載された。趙甲済記者が対話録の全体的構造と核心内容を追跡した記事だ。
1. 盧武鉉は金正日の前で終始屈従的な態度だった。
2.NLLを領土線でないと放棄する前提で、共同漁労水域などを提案し、金正日は“関連法を廃棄しなさい”と言う。
3.韓国の世論が反米親北化されたことを自慢するように言う。
4.北韓急変事態への韓米対策である5029計画を自分が阻止したと自慢する。
5.核開発を放棄するよう要求をしなかった。
6.国軍捕虜と拉致被害者の送還要求もしなかった。
7.莫大な対北支援提案に驚いた金正日が、“政権が変わるが...”と言ったら、盧武鉉は“だからこそ楔を打ち込むべきです”という趣旨の話をする。
8.対話録を読んだ人々は“大韓民国の品格を傷つける水準”、“腹が立って読み切れなかった”などの反応を見せた。
趙記者は盧-金の対話録を含め、金大中-金正日の在韓米軍の無力化密約、西海NLL反逆秘史などをまとめて単行本“逆賊謀議”(趙甲済ドットコム、138ページ、1万ウォン)を緊急出版しました。
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(以下は月刊朝鮮12月号記事の抜粋)
盧-金の対話録を公開すると“大韓民国の品格”が問題になる!
国会運営委員会は10月25日、大統領室への国政監査を行った。鄭文憲セヌリ党国会議員が暴露した盧武鉉-金正日会談録の内容についての問答が続いた。国会速記録にこういう内容が載っている。
<*徐瑢教委員:今の大統領選挙を控えて、各候補がこのNLL(海上北方限界線)問題で大騒ぎや混乱を起こしているのに、政争に巻き込まれないためにそのように骨を惜しんでは問題が大きくなり続けます。どのように公開して決着をつけるのか方案を講ずるべきなのに、その間何をしましたか?
*大統領室外交安保首席秘書官千英宇:しかし、これは一応、国家安保に影響を及ぼす秘密として国家情報院が管理をしており、また、これが公開されることそのものがまず法的に問題があり、また、一種の大韓民国の品格と言うかそういう問題とも関わることであるため、それ(対話録)は今公開ができないものであると聞いています。>
“また、一種の大韓民国の品格と言うかそういう問題とも関わることであるため”とはどういう意味だろうか?青瓦台側の説明によると、会談録に記されている盧武鉉大統領(当時)の言葉があまりにもレベルが低いため公開される‘大韓民国の品格’を落とすという意味だという。
国情院に保管中の盧武鉉と金正日の単独会談対話録(2007年10月3日午後、平壌百花園招待所、陪席者を置いての会談)は、南側が録音したものをそのまま整理したため表現が赤裸々だ。この記録を読んだ人々の共通の感想を上品に要約したのが千首席の‘大韓民国の品格に関わる’ということだ。“胸糞が悪くなって、学生が先生に報告するように言っていた録音記録を最後まで読めなかったほどだった”という人もいた。筆者は、対話録を読んだ人々に会って読後感と内容を把握してみた。
最初の読者は李明博大統領
4時間ほど続いた盧武鉉と金正日会談で主な発言者は盧大統領だった。会談録の約3分の2が彼の発言だそうだ。国家情報院は保存されている会談録の公開を拒否した。セヌリ党は民主党に与野共同で閲覧するように圧迫したか民主党は応じなかった。右派団体は、李明博大統領がこの文書を公開しないのは逆賊謀議に同調する行為だと主張する。この文書を読んだ人々は大体“保護すべき国家機密はない”と言い、“国民に真実を知らせて、南北の間でこういうことが(二度と)起きないようにし、北が次期政府に盧・金の密約を根拠に無理な要求をするのを遮断する必要がある”という見解だった。国家情報院の外では、録音内容を読んだ最初の人物は李明博大統領で、2008年末から2009年初めの間だった。彼は要約ではなく、100ページを超える会談記録全体を国家情報院から持って来て読んだ。執務室で読み私邸にも持って行って読んだそうだ。安保参謀たちもこの時会談録を読んだ。
当時は北韓軍の金剛山観光客射殺事件のため南北対話が断絶されていた。北は李明博政府側に対話の可能性を打診しながら‘10•4宣言’の履行を執拗に要求した。大統領は盧武鉉・金正日会談で何があったのかが知りたくて対話録を持ってくるように指示したという。
“南韓ではまだNLLを領土線だと主張する人々がいるが...”(盧武鉉)
李大統領は会談記録を読んで驚愕したという。参謀たちに“あまりにも恥ずかしい。これほどなら国民に知らせるべきではないか”と言った。複数の関係者が打ち明けた読後感は、“盧武鉉は先生に報告する学生のようだった”、“盧大統領があまりにも屈辱的だったため到底全部読み切れないほどだった”、“大韓民国の大統領が反国家団体の首魁である金正日に褒められようと努める様子だった”、“盧大統領は話に取り留めがなく、金正日がむしろ慎重だった”、“盧武鉉は(韓国の)国益を献上しようと努め、金正日がむしろ止める方だった。ほとんど売国奴のレベルだった”などである。
*西海NLL(北方限界線)関連言及:盧-金対話録を読んだ青瓦台関係者たちは、北側が10•4宣言の履行を執拗に要求する最大理由が盧武鉉が金正日にNLLを事実上無力化する約束をしたためであることが分かったという。口癖になった“NLLは、米軍が陣取りのために引いた線”という表現を使いながら、“共同漁労水域を作ろう”と提案した(鄭文憲議員の暴露内容とほぼ一致)。彼(盧)は“南韓には未だ、NLLを領土線だと主張する人々がいるが...”と皮肉る言い方で、“安保地図としてのNLLの代わりに経済地図を画しよう”という旨の話もしたという。盧大統領(当時)は、NLL守護の意志がないことを確実にした上で話を続けた。金正日は、全部聞き終わってから、“それでは(NLL)法を廃棄しなさい”と命令調で言った。
去る9月29日、北韓のいわゆる国防委員会政策局の代弁人が言った以下の内容が盧-金対話録要旨を正確な伝えたものだ。
“10•4宣言に明記された朝鮮西海での共同漁労と平和水域の設定問題は、徹頭徹尾北方限界線自体の不法、無法性を前提とした北・南合意措置の一つである。北方限界線の尊重を前提に、10•4宣言で合意された問題を議論すると言った朴槿恵というあまっこの言い立てや、他の傀儡当局者らの北方限界線固守主張は、そのいずれも例外なく、北南共同合意の経緯や内容も知らない無知の表現である。”
NLLという線をおいても頻繁に衝突が起きるのに、NLLを代替する共同漁労水域という面を設定したら、管理がもっと複雑になって恒久的な紛争水域になるのは当然だ。北韓は漁船も武装するが、北側が南側の検問に応じず南北の船舶が入り交じって衝突が多かったら、結局は首都圏防衛の生命線であるNLLは有名無実になる。2005年から北韓船舶の釜山〜済州海峡の通過を許可したところ、彼らは検問要求を随時無視した。
“陣取り遊び”
金正日と会って帰ってきた盧武鉉は、NLLの性格を変えようと努める。彼は2007年11月1日、こういう発言をした。朝鮮日報を引用する。
<盧武铉大統領は、NLL(西海北方限界線)を護らねばならないという国内一部の主張を、子供の頃の“陣取り遊び”に例えながら利害関係がかかっている実質の問題ではなく、情緒上の問題であるだけだという趣旨で言った。盧大統領は1日の民主平和統一諮問会議の常任委員たちに言った演説で、“絵までちゃんと入れて合意の判子を押してしまうべきだったのに、もう少し北側へ押しあげよう、南に降りて行くなどともめている”と言い、“実質的にはほぼ何の利害関係のない問題をめぐって、子供の頃の陣取り遊びのようなことをやっているのと同じだ”と語った。
盧大統領は“幼い時、教室で机の真ん中に線を引いておいて、刀を持って中間線を越えて来たら、刺すぞと、言ったが、それと似たような戦いを今やっている”と述べた。盧大統領は引き続き“線を引き直しても、わが韓に何か大変なことが起き、直ぐに安保が危うくなるわけではないが、わが国民の北への情緒がまだ譲歩を容認できないということだ”と言ってから、それで、今回の南北首脳会談では、西海平和地帯設置で間接的に解決したと述べた。
盧大統領は、NLLが、▲合意されていない線である、▲国際法上の領土線画定基準に合わないという北側の主張に対して“それは事実”としながら、“しかし、私の勝手に線を引いたら、おそらく板門店などで‘左派、親北大統領盧武鉉は帰って来るな、北韓で住め!’とこういう横断幕がかかったのではないか”と話した。>
盧武鉉はこの演説を通じて自分が金正日に約束したことを公開してしまったわけだ。つまり、“NLLは必ず護る理由がないもの”、“領土線でないという北韓の主張が正しい”、“NLLの性格を迂回的に変質させよう”などなど。
北韓は、10•4宣言の後続措置として行われた南北国防長官会談で、‘共同漁労水域’をNLLの南に設定する案を出し(明らか領海侵犯)、韓国はNLLを中心に南北等距離に設定する案を出した。北韓がこれを受け入れず、盧大統領も金章洙国防長官を圧迫できなかった。大統領選挙政局で李明博候補の当選が確実になり、世論やメディアNLL放棄に反対して推進力を失った。
当時、李在禎統一部長官は、盧武鉉-金正日会談直後の2007年10月17日、国政監査で李華泳議員とこういう問答を交わした。
<*李華泳委員:それから、西海平和協力特別地帯に共同漁労水域を設けることになっていませんか?それでは、NLLを基準にして等距離、等面積である可能性が非常に高いですね?
*統一部長官李在禎:まだこの問題は議論していませんが、さっきお話がちょっと出ましたが、南北関係は必ず相互主義というそういう原則の下で等距離、等面積の原則を定めて議論することは、私は適切でないと判断します。>
NLLという軍事境界線を放棄して共同漁労水域にすることも問題なのに、等距離-等面積の原則にも拘る必要がないということは、事実上、NLLの性格を本質的に変更するという内心を示したものと見るべきだ。盧・金会談録に盛り込まれているNLL関連発言が推察できる。
核の放棄を要求せず、反米的発言
*“北を熱心に代弁”:鄭文憲議員は、<北韓の核問題と関連し、盧大統領は“私が世界中を回りながら、北韓が核保有をしようとするのは正当な措置だという論理で、北韓の代弁人の役を熱心にしているから、北韓が私を助けてくれ”と言った>と主張した。対話録を読んだある人は、“核開発を庇護したのかは記憶にないが、北韓の立場を弁護して回ったという趣旨の話をしたのは事実だ”と言った。盧武鉉は、以前にも‘友好的な’ジャーナリストたちの前で“インドの核は許されるのに、北韓の核はなぜ駄目なのか理解できない”という旨を言放ったというから‘北の代弁人役’が出てもおかしくない。
*米国非難:盧武鉉は“米国のBDA(*マカオ所在銀行)措置は、間違った”と話した。北韓が偽ドル製造など国際的犯罪を恣行することと関連して米国が北の取引銀行であるバンコ•デルタ•アジア銀行に対してとった金融制裁措置を誹謗したのだ。刑事が犯人の前で同僚の刑事の悪口を言った格好だ。
*北核廃棄要求の失踪:会談録には、盧武鉉が会談の最も重要な問題であるはずの北核廃棄のための意味のある要求をした部分がないという。特に、北核問題の核心である高濃縮ウラン問題は取り上げられなかった。このような盧-金会談を踏まえ、10•4宣言は<南と北は、韓半島の核問題の解決のために共同で努力することにした>と言っただけだ。‘韓半島の核問題’という用語は北韓式だ。問題となったのは北核であって‘韓半島の核問題’でない。北側の言う‘韓半島の核問題’は、米国が韓半島に核を持ち込んだり、保有をしてはならないという主張をするために作った用語だ。韓国に対する米国の核の傘の提供に文句をつけるための用語の混乱戦術に盧武鉉が同調したわけだ。
*平和協定を慫慂:盧武鉉は金正日に“ブッシュ大統領と金正日総書記、そして私の三人が終戦宣言のための会談をして平和協定を結びましょう”という要旨の言葉もする。米国は、北側が核開発を放棄した後でこそ平和協定が結べるという態度を明確にしたのに、盧武鉉は北核廃棄を要求せず終戦宣言と平和協定を言い出した。金正日はこれに関心を示す。彼は核兵器を保有したまま、平和協定を通じて韓米同盟解体と在韓米軍撤収という宿願を達成できるかも知れないと思った筈だ。
*反米世論を自慢?:盧武鉉は金正日にこういう要旨の話もした。
“委員長はお前らが何をしているのかと仰いますが、我々も頑張っています。在韓米軍が首都圏から移転することになっており、戦時作戦権も米国から返還するようになっています。最近の世論調査によれば、我々(韓国)の安保に最も脅威的な国として米国が指目され、二番目が日本、三番目が北韓です。10年前は想像もできなかったことです。これは自主外交と民族共助を熱心にやった結果です。”
盧大統領(当時)は、“このように変わったのは、自主外交と民族共助を根気強く推進した結果です”という要旨の解説を付け加えた。彼は、“それでもアメリカは世界最強国であるため、私が時には親米をやらざるを得ない”という要旨の話もした。反米が当然だが親米もすべきだというニュアンスの話だった。2006年友好的な新聞社の幹部たちと会ったときも盧武鉉大統領は、韓米FTAの推進過程を説明しながら、<“この話を聞くと、人々は私を親米派と呼ぶだろう”と冗談をした>という。彼は左派メディアや金正日など‘理念的同志’の前では‘親米的’政策をとったが何の罪でも犯したようにぎこちなくしたようだ。
作戦計画5029を阻止したと自慢
*作戦計画5029:盧武鉉大統領は、2006年8月13日ハンギョレなど ‘友好的な’新聞社の幹部たちを招待して夕食を共にしながら、韓米間の北韓急変事態対策である5029の計画を批判した。彼は金正日の前にも“5029は米国が戦争しようとする計画だが、私は反対して阻止した”という要旨の話をしたという。5029は北侵計画でなく北韓の急変事態対策だ。最近の朝鮮日報の張一鉉記者はこう整理した。
<韓米当局は、金大中政権時代の1999年から北韓急変事態に対する対策を協議し始めた。この時作ったのが‘概念計画(CONPLAN)5029’だ。概念計画は兵力動員や部隊配置などが含まれていない抽象的なシナリオだ。韓・米の軍当局は、盧武鉉政府になって‘作戦計画5029’を作るべきだと主張したが、盧前大統領と青瓦台の国家安全保障会議(NSC)の反対で実現できなかった。二つの政権は、韓・米が北韓急変事態を想定した軍事作戦計画を練るという発想そのものが許せなかったのだ。李明博政府発足初年度の2008年夏、金正日が脳卒中で倒れるや5029をいつでも実行可能な作戦計画にすべきだという米国側の要求を拒否する名分が消えた。そして1年余りの協議後、作戦計画5029が完成した。>
李明博政府の安保担当の核心人士は、“盧武鉉勢力は、北韓に急変事態が発生してもこれを統一に持っていく考えをしない。北韓政権を生かして連邦制統一をしようとする。5029の完成で、韓・米は北韓急変事態を統一の契機とすることにしたわけだ”と説明した。5029計画をめぐる対北観と統一観の根本的な差が明確になったのだ。
金大中-盧武鉉政権と従北左派勢力は、反国家団体の首魁と結んだ反憲法的な6•15と10•4宣言に立脚して、憲法第4条の命令である‘平和的自由統一’を否定し、共産主義を容認する北韓式連邦制統一案を追従する。韓半島に2つの国を許す‘国家連合’とは反憲法的かつ分断固着的な用語も登場した。
数十兆ウォンの一方的支援を約束しながら国軍捕虜の件は提起しなかった
*くさびを打ち込む:文化日報は10月9日、<盧武鉉前大統領が‘10•4宣言’の合意を導出する過程で数十兆ウォンがかかると推定される南北協力事業を提案しながら、金正日に“(来年に政権が変わるが)こういう時こそ五寸釘を打ち込むべきだ”と押し通したと知られている>と報じた。新聞は、“盧大統領は、首脳会談当時、金委員長が“2カ月後(南韓で)大統領選挙が行われ、来年は政権が変わるのに、こうやって良いのか?”と訊いたらこのように回答した>と伝えた。確認した結果、盧武鉉は‘五寸釘を打つ’ではなく、‘だからくさびを打ち込もうということでありませんか’という要旨の表現を使った。
盧武鉉と金正日の間で交わされた対話を南北共同宣言文として整理したものが10•4宣言だ。それこそ大韓民国の心臓と脳髄に打ち込んでおいた五寸釘だ。要約すれば、“迂回的方法でNLLの無力化、北核の事実上の容認、核放棄しない状態に終戦宣言推進など韓米同盟解体に進む条件の造成、造船公団建設および鉄道や高速道路の改補修など莫大な対北無条件支援約束”などである。盧武鉉は、民族反逆集団に数十兆ウォンがかかる支援を約束しながら、国軍捕虜と拉致被害者を返して欲しいという話を一言も出さなかった。この点が盧-金会談の逆謀性を物語る。李明博政府は、盧-金密約を履行はしなかったが、くさびを抜かず10.4宣言という負担を次期政府に引き継ぐ構えだ。最も確実にくさびを抜く方法は、盧-金対話録の全文を公開して国民の判断を仰ぐことだ。
www.chogabje.com 2012-11-17 17:41