子どもたちを守るために=編集余話 瞻星台

日付: 2012年09月05日 00時00分

 韓国社会に衝撃を与える性犯罪がまた起きてしまった。家で寝ていた小学生の女児を布団ごと拉致して性的暴行を加えた男が8月31日、地元の羅州警察署員に逮捕された。男は被害女児の両親と知り合いで、深夜1時すぎに女児の自宅に侵入。侵入口の一番近くにいた女児を連れ去り、家から数百メートルの屋外で凶行に及んだという。不幸中の幸いというべきか、女児は生きて発見されたが、心と体に一生消えない傷を負ってしまった▼李明博大統領は容疑者が逮捕された31日、「政府に代わって国民に謝罪する」と謝罪した。しかしこの謝罪にどれほど意味があろう。凶悪事件の多くは、個人の心の奥に潜む闇から生まれるものだろう。大統領がどれほど力を入れても、残念ではあるが同様の事件の再発を防ぐのは難しい▼2000年以降に起きた女児に対する性的暴行事件の犯人は、被害者の近所に住んでいるケースが多かったという。現在刑の執行を待っている死刑囚は61人。彼らの手によって命を奪われた人の数は202人に上る。その80%以上が女性と子どもだ。弱者を狙った卑劣な犯罪に対して今一度注意を喚起すべきだ▼残念なことに、そして憂慮すべきことに、韓国における性犯罪率はここ数年で急激に伸びている。03年から09年までの6年間で、性犯罪件数は90%増加。被害者の40%が小学生以下の子どもだ。政府は性犯罪者の再犯防止として、一部性犯罪者への化学的去勢を実施。居場所が特定できる装置の着用も義務づけている。こうした対症療法だけでなく、抜本的な対策も求められる。


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