海を支配する国が世界を支配する!

貿易に国家の存亡が掛かっている韓国はこの点を忘れてはならない。
日付: 2012年08月29日 15時37分

李江湖(未来韓国)

農耕の定着民に最も重要なのは当然土地だ。だが、遊牧民に重要なのは家畜であって土地でない。穀物の栽培は固定された空間で行なわれるが、遊牧は空間を移動しながら行なわれる。それで遊牧民に重要なのは移動経路と時間だ。農耕民に重要なのは土地という空間を失わないことだが、遊牧民に重要なのは時間を浪費しないこと、すなわち機動性だ。

農耕文明は根本的に土地という固定された空間に縛られる。人間は土地という空間を中心に組織化し管理され、その空間を保護するために垣根を廻らすことが重要になる。王土思想や丁田制などはそういう目的の思想や制度であり、長城はまさにそういう空間の区分と保護のための垣根だ。

だが、空間を絶えず移動する遊牧文明は違う。人間生活のすべては移動を前提として組織化され管理される。垣根を巡らすのではなく移動のための手段が重要になり空間と空間の連結が重要になる。

道を掌握するのが覇権だ
商業活動、その中でも特に遠隔の地との交易活動はこういう遊牧民の特性と相当似ている。遊牧民にとって家畜が重要なように、交易においてまず重要なことは商品だ。

そして遠隔交易での利益は二つの要素、商品をどれほどたくさん運送できるのかと時間をどれほど短縮するのかにかかっている。移動、運送手段と‘道’が重要になるわけだ。

大洋の航海時代が始まる前にユーラシア内陸の遠隔交易を掌握していた勢力は騎馬遊牧民だった。自らの生存のためにも交易は必須だったし、何よりも移動能力において優位だった。ところが、ユーラシアの内陸でない地中海一帯でも基本構造は似ていた。

中近東の内陸地帯はラクダの隊商が縫って、エーゲ海では早くから海洋商業文明が花が咲いた。ローマ帝国はそういう交易網の上に立った文明だった。それでローマは“すべての道はローマに通じる”という言葉が物語るように、長城でなく道を作った。

農耕が重要でないわけではない。しかし、農業生産力がいくら優れてもそれだけで一国を超える国際的覇権を確保することは不可能だ。覇権は軍事的力の土台がなしでは確保できない。ところが、百姓のほとんどが農業に縛られていては自らの軍事力を形成するには制限がある。

一時的に徴発、動員される農民軍はいつも専門的軍事集団の餌食だ。それに立向かえる常備軍を地代収奪的農業余剰だけで支えるのは限界がある。結局、発達した商業活動で獲得する富が必要だ。

それで歴史上のすべての強力な国家は、交易路の掌握とそうして獲得した富に基づいた軍事力を蓄えた。そして逆にそういう富を保障する交易路を掌握し護る力がまさに覇権だ。言い換えれば、道の掌握が覇権の核心だ。

垣根の中の文明
農業共同体を理想とする文明はいつもこれ(道の掌握)を疎かにした。中国の漢族の王朝らと朱子学に溺れていた朝鮮が典型的だ。士農工商の身分秩序で商人は最も賎しい身分だった。徹底した文士中心で、軍人も無視された。根本的に垣根の中の文明だった。自らと外側の世界とは区分を強化し門戸を閉じればそれで済んだのだ。そういう国では商人と戦士が大事にされる理由がなかった。

大洋航海の時代が幕を開け、中国と朝鮮のこういう弱点は致命的になった。以前陸路が基本で海を補助的にしてきた国際的交易路が海洋を主舞台に変わった。もう海が道になり利益はそこから出るようになった。だが、朱子学的世界観では海は最初から存在そのものがなかった。

中国は明の時代に鄭和の南海遠征以後海を徹底に無視した。艦隊を破壊し、すべての資料を焼き払い、さらにすべての島から人々を追い出す空島政策を断行した。朝鮮も明のこの政策を踏襲した。清も内陸中心の思考から抜け出すことができなかった。

会社を通じてインドを管理した英国、商人が金を儲けるのを許さなかった朝鮮
近代西欧海洋勢力の代表的存在だった大英帝国は違った。“大英帝国は何よりも強い商業的動機から始まった。プロイセン駐在英国大使は‘われわれは軍人である前に商人でなければならない’という点と‘英国の真の源泉である富は貿易にかかっている’という点を記憶しろとの訓令を受けた。(朴枝香の英国史)”一言で大英帝国は商人と軍人の帝国だった。

大英帝国はそのように対外開拓に乗り出しながら商人らしく徹底的に最小経費の原則を堅持した。‘安い帝国主義’だった。私企業に植民地統治の特許状を与えたのはその中でも白眉だった。

英国はビクトリア女王の時代、王冠の最も光る星と呼ばれたインドを初期には‘東インド会社’を通じて管理した。朝鮮の朱子学者らは商人が金を儲けるのを我慢できなかったが、英国は、今風に言えば、総合商社に植民地の統治権を与えたのだ。

土地にばかり拘っていた中国と朝鮮が、こういう武装した海洋商業勢力に対抗できるはずがなかった。しかし、日本は違った。日本も徳川幕府は鎖国政策で門戸を閉じて朱子学的管理方法に依存した。

だが、日本は元々島国の海洋国家であり商業の伝統も強かった。強制開港の後、明治維新で近代化に成功した日本は、徹底に西欧の近代海洋文明勢力の前例を学んだ。

中国と朝鮮は百姓が島に逃げられないように防ぐことに没頭した。だが、日本は無人島の岩礁にまで片っ端から旗を立てて海洋領土の開拓に出た。尖閣諸島と独島にもその時占領した。

今日の覇権は海にある
中国は今当時の失敗を挽回しようと切歯腐心している。南沙諸島、尖閣諸島はもちろん、わが離於島まで窺っている。日本も帝国主義時代の立てた旗(島)に執着している。しかし、中国は地政学的に海洋への影響力拡大に根本的限界があり、日本も米国の了解なしには何もできない。

今日の世界の海は米国が支配する。まず、地政学的に米国は大西洋と太平洋の両大洋を抱えている。大航海時代から今日に至る間に二つの大洋だけでなく地球の全ての海が一つに繋がった。

実にグローバルな地中海時代だ。米国は、世界で最も広く重要な二つの大洋を両羽にして事実上世界のすべての海を支配している。米国の覇権は、海に対する支配力と同義語だ。

道を支配する者が世界を支配する。ところが、今日最も重要な道はまさに海だ。海が重要なのは、単純に水産資源やどこかの海底に資源があるとかのためでなく、それが道であるということだ。

今日、ほぼ全ての交易商品は海を通じて行き来する。海を支配することは世界の貿易路を支配することであり、それがつまり今日の覇権だ。今その主人公はわれわれの同盟だ。貿易に国家の存亡が掛かっている韓国はこの点を肝に銘じなければならない。李江湖(韓国国家戦略フォーラム研究委員委)

*記事の出処は未来韓国

www.futurekorea.co.kr 2012-08-27 18:19


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