金成昱
1.悪党に会えば悪の事を企てるはずだ。ところで大統領選挙に出る人々が一様に“金正恩に会いたい”と言った。天安艦爆沈と延坪島砲撃に対する謝罪のような明確な条件もつけなかった。ただ平和のために会うという人気性発言だ。
今まで二度の南北首脳会談も、違憲的連邦制統一を約束し韓国内従北派の活路を開けて北韓体制を支援するものだった。北韓政権は反国家団体で北韓住民は国民という憲法的定義を破壊し、北韓解放と自由統一という民族的使命を踏み躙ったサタンとの約束だった。大統領選挙候補たちはこういう歴史的先例を完全に無視する。
朝鮮日報の大統領候補アンケート調査(8月17日)によると、左派性向の民主統合党の金斗官、文在寅、孫鶴圭候補はもちろん、セヌリ党の予備候補たちもいわゆる‘南北首脳会談’を主張した。世界日報のアンケート調査(7月30日)も“セヌリ党候補たちも南北首脳会談に意欲を示した”と報道した。
朴槿恵候補は南北首脳会談に対して2011年9月1日、“韓半島の平和定着のため基本的に反対しない”と表明し、朝鮮日報や世界日報の調査でも南北首脳会談を推進する意思を再確認した。金文洙候補も今年6月24日“新しい南北関係確立のための南北首脳会談と南北経済共同体推進”などを骨子とした統一政策を発表した。
ただ、朴槿恵候補は“南北首脳会談は韓半島の平和定着に役に立つならいつでも可能だが、いつかが重要でなく何を話すのかが重要だ”など、セヌリ党の予備候補たちは比較的慎重な姿勢だった(出処:世界日報)。
セヌリ党の場合、具体的な公約がないため候補たちの北韓と統一に対する見解は原論的水準に留まっている。任太煕候補はホームページに公開した公約で“38度線の38kmを崩して開城‐坡州-仁川を繋げる平和空間を作る”という多少空想的主張をしている。
セヌリ党で対北支援に対する見解は、金台鎬候補が最も批判的で、金文洙候補が最も積極的だ。金台鎬候補は世界日報の調査で“韓国が先に対北支援に出てはならないという‘相互主義’原則”を強調した。金文洙候補は“全面的な対北支援”、“南北経済共同体推進”、“開城工団を黄海道全域に拡大し第2の開城工団を推進”、“東北アジア開発銀行設立”、“南北FTAおよび南北経済協力基本協定締結”など具体的公約を提示した。
金文洙候補は安保と全面的対北支援と交流を併行するいわゆる‘ツートラック(two-track)政策’を強調する。金候補は“北韓側がもう一度核実験をする場合、韓国に戦術核を配置図する”、“必ず平和統一を成し遂げて3代世襲独裁を終息させ、飢えに苦しむ2千4百万の北韓住民と共に良い大韓民国を作らなければならない”と表明してきた。
2.いわゆる進歩を自任した民主統合党の候補らは大韓民国のアイデンティティを根元から否定する連邦制統一を主張する。
金斗官候補は、8月8日“2015年戦時作戦統制権返還以前に、北韓と周辺国を説得して北韓と‘平和協定’を締結する”、“大統領になったら1年内に南北首脳会談をやる”と強調した。金候補は“1国家2体制の連邦制形式の統一も良い方式だ。互いに体制を認める方式で段階的に行くことも良いと思う”(2007年8月28日、大田平松青少年修練院での講演会:出処テーリアン)とか“南北共助や民族共助を考えても国家保安法は早く廃止せねばならない(2005年1月30日、オーマイニュースとのインタビュー)”など国家保安法撤廃と連邦制統一を主張してきた。
文在寅候補は、8月17日“南北が協力的成長をなす南北経済連合時代を開く”と言い、“就任して直ぐ南北関係を復元し、来年の6月15日に南北首脳会談を開く”と言った。彼は2011年2月、韓国日報とのインタビューで“金大中、盧武鉉政府を経て南北が平和統一に近づいた。国家連合、あるいは低い段階の連邦制に辿り着けるという希望を抱けるほどになった。しかし、今は統一どころか戦争を心配せねばならない状況だ”として連邦制統一への意志を表明したことがある。文候補は自著の‘運命’でも盧武鉉政権の時国家保安法を廃止できなかったことを何度も残念と書いた。
文候補は朝鮮日報の調査で“駐韓米軍の撤収にも明確に反対した”と言うが、国家保安法撤廃-連邦制統一は北側の主張と同じだ。同じ調査は、文候補に対して“済州海軍基地に対して民・軍複合基地推進の条件で賛成し、北韓人権問題も提起できると言った”と報道した。
孫鶴圭候補は、就任したら直ぐ南北首脳会談を提案し、韓半島中立化統一方案を提示すると言った(出処:朝鮮日報調査)。孫候補は従北論議が沸き上がっていた5月25日にも国家保安法廃止を主張した(出処:BBSラジオの高成国の朝ジャーナル)。
3.与野党の大統領選予備候補らは程度の差はあるが、金正恩との会談、6.15宣言と104宣言に対する尊重、対北支援という共通分母を持っている。ただ、セヌリ党の予備候補らは‘北韓政権を蘇生させること’には消極的で、民主統合党の予備候補らは積極的だ。民統党の候補らはほとんどが国家保安法廃止と連邦制統一という北韓の対南路線に賛同する‘決定的’差もある。
セヌリ党の金台鎬候補は、相互主義という李明博政府の原則的対北接近に最も近い。金文洙候補は対北支援では民統党候補たちより積極的だが、6.15と10.4宣言の履行では消極的で北韓人権に対しては積極的という点で目立つ。
セヌリ党の予備候補らの対北発言は、従北勢力が世論生成のメカニズムを事実上掌握している状況での苦肉の策とも見られる。だが、悪への分別がないという批判は避けられない。金正恩政権への妥協性発言が差し迫った自由統一の前で切実なものとも言えない。2400万同族を解放する信念の指導者が見えない。時代のビジョンをなすまで、また民族的屈従の試練に耐えねばならないのか。
www.freedomfighters.co.kr 2012-08-19 10:07