「継続の美」と「断絶の美」=編集余話 瞻星台

日付: 2012年06月27日 00時00分

 韓国と日本の文化や「美」の違いを日本は「継続性」の中に、韓国は「断絶性」の中にあると指摘した人がいた。陶磁器の発展が最適な例とされる。青磁の後に白磁が現れたが、白磁の時代には青磁が否定され、一切作られなかった。青磁が無くなり一気に白磁に変わった。日本であれば中間色を経て徐々に白磁になり、それでも細々と青磁は作られたのだろう。韓国での青磁の復活はごく最近のことだ▼韓国は断絶の中に「美」を見出す。政治もそうだ。大統領が変わればすべてが変わる。会社も同じ。前大統領や前社長の方針は、全否定されることが珍しくない。日本では「継続ないし引継ぎ」を行う。だから逆に現代のように変化の激しいときには、それについていけないという弊害が現れる▼韓国では年末、大統領選挙が行われる。どの党のどの候補が大統領になるかはわからないが、新大統領の政治が行われる▼韓国では青磁以外にも断絶により失われたものがあった。例えば仏教を否定した朝鮮王朝時代には貴重な仏教芸術品が失われた。断絶は、よき前例を失わせるという弊害がある。それを克服しなければならない▼韓国が抱える課題は多い。諸々の軋轢を統合し、まとめきれないと今の成長は続かない。韓国の生産労働人口は2018年にピークを迎える。日本は労働人口がピークを迎えた3、4年前にバブルが弾け、その後経済は停滞した。日本の先例に学ぶべきだ。また既得権が世襲化する社会で少なくとも機会の平等をいかに確保するかが問われている。その構築が安定につながる。


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