スカイツリー開業に思う=編集余話 瞻星台

日付: 2012年05月30日 00時00分

 22日に開業した東京スカイツリー。634メートルという世界一の高さを誇る電波塔と、ツリー周辺に東西に伸びる大型複合施設「東京ソラマチ」は週末多くの人でにぎわった。スカイツリーとソラマチを合わせ、来場者はすでに100万人を突破。目標を上回る数字だという近隣住民がごみや騒音問題で悩まされているという側面はあるものの、おおむね好調な出だしといっていい▼ソラマチ内には韓国料理店もオープンした。公式ホームページを見ると、焼き肉店も含めて韓国料理を提供する飲食店は4店舗ある。かつて「キムチは臭い」と言われ、「ニンニク臭い朝鮮人」などと差別の対象になった▼ところがそれは今の若い人には理解できないという。実際に30代より若い世代に聞いてみると、そういう話をしても想像さえできないのか、きょとんとした表情を浮かべるだけだ。むしろ韓国料理は美容と健康にいいと、女性を中心に人気だ▼ところで韓国では、かつての貧しい時代を知らない世代が増えているという。ある50代の男性は、「昔はコメが食べられなかったんだよ」と息子に話したところ、「ラーメンを食べればよかったじゃないか」と返され、唖然としたという経験を語ってくれた▼過去の差別経験や苦労話をことさら強調することはない。とはいえ、現在に至るまでどれだけの苦労があり、それをいかに克服してきたかを教えることは、それを知らない人にとって貴重な体験を伝えることと同じだ。時代は変わっている。今までとは違う時代を作っていく努力を、これからの世代には期待したい。


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