韓国で総選挙があった4月、平壌では前近代的な「金氏王朝」3代目への権力承継の仕上げとなる、金正恩の「朝鮮労働党第一秘書」と「国防委員会第一委員長」への推戴が行われた。平壌側が「金氏王朝」の継承や威厳を誇示するため注ぎ込んだお金は20億ドルともいわれた。
だが、金正恩が始祖・金日成の誕生100年に合わせて強行した大陸間弾道ミサイルの発射は失敗した。そして、この失態の挽回を兼ねてか、いわゆる「人民軍」最高司令部「特別作戦行動班」が大韓民国大統領と首都ソウルへの攻撃を宣言(4月23日)した。
北側は、李明博大統領と韓国社会が北の最高指導者の尊厳を毀損したと言い掛かりをつけている。連日、全軍民を動員して延坪島砲撃(2010年11月)以上の復讐を誓っている。だが、金正日が倒れた08年夏以降、金氏王朝の持続のために急遽作られた「偵察総局」などが、若く未熟な後継者・金正恩の「業績」作りのために好戦的悪事や悪態をとってきたことは全世界が知っている。
韓国に脅しをかけ続ける北
平壌側は対内的には血の粛清を、韓国に対しては武力挑発を続けてきた。北側は今年に入り、「進歩勢力が大団結して総選挙や大統領選挙で逆賊の徒輩らに決定的な敗北を与えろ」と激烈に煽動し、韓国の政治を支配しようとしている。金正恩は3月3日、板門店を訪ねて韓国を「敵」と公言した。
「金氏王朝」は、共産主義やスターリン主義の最も野蛮で危険な変種だ。そして「朝鮮労働党」は韓半島の赤化を存在目的としている。そのため核ミサイルの完成を急いでいる金正恩は、労働党第一秘書としての野望と好戦性を隠さずに現したのだ。
平壌側の対南攻撃を示唆した「特別行動」宣言は、テロ集団による無差別テロと同様に暗殺も予告しているといえる。
先代の金日成と金正日は、大韓民国の大統領暗殺だけでも4回試みた。青瓦台襲撃事件(1968年1月)、国立墓地爆破事件(1970年6月)、ビルマ・アウンサン廟爆弾テロ(1983年10月)の3回は特殊部隊による作戦で、残りの1回は日本で朝総連が実行に関与した文世光事件(1974年8月)だ。
今の対南挑発を主導している「偵察総局」は、1960年代後半に韓国をゲリラ戦場化しようとした好戦的な「対南事業総局」の挑発を再演している。当時、金日成が毛沢東の指図や支援で南侵戦争再開を決意しソ連に諒解と支援を求めたが断れた史実は、最近公開された共産圏の外交文書からも確認できる。
金正恩とその取り巻きは、暴圧体制の維持のため、敵対的住民だけでなく、「先王」金正日の側近らも粛清しているという。問題は、この政治と軍事を結合させた危険な挑発を支持、庇護、迎合する国内外の親北・従北勢力が存在することだ。
北側の挑発に何ら対応しない韓国の政界指導者は、親北・従北勢力を恐れているのだろうか。何もしないのは卑怯だ。
北を支持する朝総連
「従北」の元祖である朝総連は今度も対南無差別テロと攻撃宣言を支持した。「地上の楽園」という嘘で9万人以上の人間を生き地獄へ送った朝総連は、拉致をはじめ、金氏王朝が今まで行った犯罪や悪事や独裁に加担している。朝総連は金正恩に忠誠を示すため、駐日韓国大使館にまで押し掛けた。
朝総連のこういう暴力とテロリズムへの支持は、「在日社会」全体を道連れにする自爆テロ的な行為だ。自由な日本社会で生きながら「自由の敵」の肩を持つ彼らは共同体の敵だ。彼らの名は反文明者、民族の反逆者として記録され、北が解放される暁には北で虐げられた犯罪者や反逆者よりも厳しく断罪されるべきだ。
この凶暴な「悪の集団」の処分を国際社会に期待するのは韓民族の恥だ。韓国民の自由と尊厳を守り、北韓住民を解放するため、金氏王朝と朝鮮労働党を一日でも早く解体せねばならない。そのため年末の選挙では、北韓を解放する人物を大統領に選ばねばならない。