北韓が3月16日、「人工衛星」打ち上げを発表して以来、韓日米を中心に世界各国は「国連安保理決議違反」として批判の声を上げている。一方、北は人工衛星打ち上げを「宇宙空間の平和利用」だと必死に反論している。人工衛星打ち上げ技術が弾道ミサイル開発技術に通じることから、北が「人工衛星だ」と何度主張しても、韓日米は「それは長距離ミサイル発射だ」と受け取り、批判を繰り返す。これに対し北は「主権国家の自主権の蹂躙だ」と反論する▼朝鮮中央通信社(KCNA)は3月26日、ついに4月中旬に打ち上げる「人工衛星」を「気象衛星」だと説明しだした。同通信社によると、「高度静止気象衛星データ受信機」であるという。今回、打ち上げるのは「ミサイル」なのか「人工衛星」なのか、はたまた「気象衛星」なのかさっぱり分からない▼北ほど人工衛星を打ち上げるのに言い訳する国はない。イランが事前に多くの説明なく打ち上げ、「わが国初の国産人工衛星」(2009年2月)と宣言しただけだったのとは好対照だ▼今回の北のミサイル発射実験は、北にとっては何も得るところがない。普通であれば、食料品の援助など支援を貰ってから、ミサイルを発射してもいいのにと思うのだが…▼日本ではミサイルの「破壊措置命令」やイージス艦3隻のミサイル航路近海への派遣、PAC―3の配備など、緊張感だけが高まっている。発射されればまた専門家たちが不安を煽るだろう。国際政治とは案外、表面の事象とは違うところで動いているのかもしれない。