趙甲済
まだ戦争中の国で、その戦争を遂行している軍隊が敵軍のように憎む人々を国民が国会議員や大統領に選出することは亡国へ進む一種の国家的自殺行為だ。サッカーに喩えればスパイをゴールキーパーで立たせておいて競技することだ。
国軍が反対し敵軍が好む候補たちが今回の総選挙に大挙出馬したことはそれ自体ですでに国家的危機だ。
*こういう者らが立候補しており当選の可能性が概して高い。スパイ事件連累者、金日成崇拝者、天安艦爆沈が北韓側の仕業でないと主張する者ら、天安鑑爆沈が北側の仕業であってもその責任は国軍にあるという者ら、済州海軍基地建設にあくまでも反対する者ら、甚だしくは海軍を海賊と呼んだ人々に肩入れする者、西海NLLを護る必要がないと考える者ら、済州海峡を敵軍に開放してあげた者ら、国軍の背中に匕首を刺す韓米同盟解体論者および国家保安法廃止論者ら、市民(従北勢力を意味)が軍の安保政策全般に介入できるように保障するという者ら、社会主義者たち、転向を宣言しなかった北韓地下党所属員出身者ら、国軍の海外派兵を禁止すると公言する者ら(それで国軍が攻撃されると国際社会の援助を受けられないようにするという者ら)、左翼革命資金を賄うために強盗傷害を犯した者、金正日の海外秘密資金口座へカネを送ることを主導した者、反軍扇動家、国会で催涙弾を投擲した者などなど。
1.国家と国民がこういう反逆者らが出馬できるよう許した行為は共同体の常識を崩すことであり、憲法精神違反だ。進歩党の前身である民主労働党が北韓政権の対南赤化戦略に同調し、「民主的基本秩序に背反する」違憲政党であるのが明確なのに、歴代政府が憲法裁判所に提訴して解散の手続きを踏まなかったことは自ら憲法に穴をあけた行為であり、今日の危機を自ら招来した。メディアも従北反逆者らを民主・進歩勢力と美化し、国民を欺いたことで共犯の役割をなした。
2.政府とメディアが敵軍勢力である従北左翼の出馬を止められなかったので、有権者らがこれを防ぐ義務がある。投票の時、スパイ、反逆者、詐欺師、扇動屋などを分別して落選させなければならないという意味だ。だが、有権者が左翼の扇動に騙されているのでその分別力が信じられなくなった。天安艦爆沈が北側の仕業でないと信じる人々が全体有権者の30%、進歩党の主流が従北勢力であることを認めない人々が有権者の約60%もある。真偽と善悪と彼我が識別できない人々が投票権を行使すればスパイや反逆者が国会や青瓦台へ入ることができるのだ。
3.敵軍勢力でありながら民主や進歩に偽装した従北勢力は、幼い民主主義の盲点や分別力が麻痺した多数有権者を悪用して選挙を通じて政権を取って革命的目標を達成できるようになった。これは一種の選挙クーデターである。「国軍がこういう事態を見物ばかりして良いのか」という疑問が生じる。敵軍勢力は言論の自由を悪用して反軍・反国家扇動を思う存分やっているのに、被害当事者である国軍が沈黙しているのが正しいことなのか?
4.「憲法5条②項:国軍は国家の安全保障と国土防衛の神聖な義務を遂行することを使命とし、その政治的中立性は遵守される。」
国軍は外敵だけでなく内敵からも国家を保衛しなければならないという憲法の命令だ。政治的に中立という言葉は、特定の政党の肩を持ってはならないという意味だ。軍は政治をしてはならないが、国家の安全保障のために政治が分からなければならない。それで政訓教育を実施している。政訓は政治訓練の略字だ。休戦中の韓国での国家の安全保障は、敵軍の肩を持つ勢力を牽制、無力化させることが核心だ。憲法はこの任務を「神聖な義務」と規定した。譲歩できない原則ということだ。国家の安全保障を脅かす敵軍勢力、つまり従北反逆者らが有権者を騙して国会議員になり大統領になるかも知れない事態を防ぐために国軍が行動するのは「憲法が命令する神聖な義務」という話だ。
5.国軍が特定の政党のために選挙に影響を及ぼすのは憲法違反だが、国家の安全保障のため行動するのは憲法が命令する「神聖な義務」だ。国軍は、敵軍勢力が国会議員や大統領に当選して反逆行為を制度的に恣行できる道を開く国家的自殺を防ぐ義務がある。
6.こういう話せば、敵軍追従勢力は「クーデターをそそのかす」という誹謗をするだろう。クーデターは暴力で憲政秩序を倒すことだが、私が言う要旨は憲政秩序を守護するために軍隊が行動せねばならないという意味だ。敵軍勢力の「選挙クーデター企図」を防ごうという意味だ。軍事力を直接動員する必要もない。決心さえ固まれば平和的に、合憲的に、常識的に行動しても充分だ。
7.国軍は沈黙を破らなければならない。敵軍勢力が選挙を通じて国会議員にもなり国軍統帥権者にもなって、政権が取れる状況への対国民立場表明がなければならない。核武装した敵軍の前に国軍を裸にして出す「駐韓米軍撤収-韓米同盟解体」の公約に対して国軍は発言すべきだ。政府と与党が国軍に代わって発言すれば良いが、その役割を放棄したから国軍が出るしかない。
8.先月の3月10日、民主統合党の韓明淑代表と統合進歩党の李正姫代表は総選挙の候補者を一本化し総選挙後構成される第19代国会で両党が推進することにした「共同政策合意文」を発表した。こういう件がある。「国家安保問題全般に関する決定で市民の参与を保障する」
ここで市民とは天安艦爆沈が北側の仕業でないと言った「参与連帯」のような従北-左派勢力を意味すると解釈するのが常識的だ。彼らは敵軍が好む勢力でかつ国軍を憎む勢力だ。彼らが従北左派政権の保護の下で軍の安保政策全般に介入するようになれば、これは「銃声なき左翼クーデター」の開始だ。左翼理念集団が「安保問題全般」に介入するよう許す国は党が軍隊を統制する共産国家だけだ。なぜ国軍はこの恐ろしい政策公約に対して沈黙しているのか? ことごとに敵軍に肩入れし国軍を攻撃し、それでも足りず韓米同盟を破ると公約した統合進歩党勢力が国軍指揮部への人事権と監察権に介入し、戦争計画など安保問題全般の決定に参与すると言っているのに、国軍はなぜ沈黙しているのか?
9.金寛鎮長官が就任してから国防部は兵士たちへの政治訓練を強化している。特に、従北勢力に対する教育がまともに行なわれている。「従北は国軍の主敵」と教える。その従北勢力が有権者をだまして選挙を通じて政権を取った後国軍を統制する事態が「可能なこと」になった。有権者が、国軍を敵と看做す者ら(国軍が敵と看做す者ら)を公職者に選出し、権力を行使するように許容すれば血を呼ぶ。国軍も有権者が正しい判断をして憲政体制の毀損を防げるように助けるべきだ。最も良い方法は国軍が憲法、事実、国益の立場に立って、なぜ従北勢力が敵軍勢力であり彼らを選んではならないのかを説明することだ。
10.メディア、政党、政府、知識人社会、宗教家までが選挙戦で人気迎合と利己主義に陥没しているため誰もが国家正体性、憲政秩序、安保、国益を考えていない中で、国民が期待できる唯一の国家守護機構は強大な物理力を持つ国軍だ。金寛鎮長官も「国軍は大韓民国の守護者」と規定する。敵軍に肩入れする勢力(敵軍勢力)は、乱動や扇動の自由を享受しているのに、国家守護勢力が平和時の最も大きな力である口を閉じて沈黙し、傍観者になればゲームは終わったものだ。4月11日の総選挙は南北韓の代理戦であり、その本質は敵軍勢力と国軍勢力の対決だ。ゲームの主体である国軍の沈黙は、国軍勢力の敗北につながる。その次の事態は「従北政権vs. 国軍」の内戦的対決構図に展開される。この悲劇を銃弾一発撃たず防げる力を国軍は持っている。国軍は「言葉」を通じて国民が夢から目覚めて韓半島の厳酷な現実を直視するようにさせる義務がある。北韓政権と大韓民国の対決構図で、国軍が愛国勢力の中心の役割を放棄すれば決定的時期に国民から無視される。国軍は国民保護、国民は国軍保護!