金成昱
1．民主統合党と統合進歩党の野党圏連帯は、従北派が統進党を掌握し、統進党は民統党を引っ張っていく形勢だ。2012年の総選挙と大統領選挙を通じての権力交替は、従北派の大韓民国権力掌握を意味する。
李正姫統進党代表の辞退で｢京畿東部連合｣がメディアに浮び上がった。京畿東部連合は、1990年代に京畿道の城南と龍仁を中心に労働運動などをやってきた汎NL(National Liberation)系と定義される。NL系は、1980年代に大学街で反米・自主化を掲げる主体思想派と呼ばれた。
2．NL主思派の目標は単純な政権交替でない。このことは｢京畿東部連合｣を含む統進党の主流である｢全国連合(民主主義民族統一全国連合)｣の綱領、主張、活動を見れば明確だ。全国連合はまさに統進党だ。民統党が作成した｢野党連帯｣文書によれば、主要協商対象選挙区19個の中11個地域の候補が全国連合系列だ(京畿東部7人、蔚山連合3人、仁川連合1人)。全国連合の他は左派と分類された沈相奵、魯会燦と柳時敏系列の参与党の6人がだけだ。
3．全国連合はパルチザンの後裔らと1980年代のNL主思派系列が1991年結集して組織した連合体だった。この団体は2007年10月、｢狂牛病乱動｣を主動した韓国進歩連帯へといわゆる発展的に解消された。
全国連合は専門示威屋として知らされた呉宗烈が16年間組織を率いながら国内の反米集会を主導した。呉宗烈が共同代表を務めた団体は、▲2002年のヒョスン・ミソン追慕女子中学生汎国民対策委、▲2004年の盧武鉉弾劾無効汎国民の行動、▲2005年10月の反ブッシュ国民行動、▲2005年の平沢(米軍基地)汎国民対策委、▲2005年の韓米FTA阻止汎国民運動本部、▲2008年の韓国進歩連帯などだ。2005年9月の仁川市自由公園のマッカーサー銅像破壊試図も呉宗烈の全国連合と韓相烈の統一連帯が主導した。要するに、米国関連イシューが起きると｢ヤンキーゴーホーム｣に導いた団体が全国連合だ。
全国連合の活動は猛烈だ。2005年の資料集(15期)によれば、2005年の一年間で780回の集会やデモ、記者会見などを行ったと記録してある。大部分は鉄パイプ、竹槍、鉄の槍、綱と鉤などが動員され、指揮部の激烈な扇動が加えられて流血暴動で終わった。全国連合の指導部は2007年に韓国進歩連帯を作り、2008年5月6日に｢狂牛病国民対策会議｣を作って以前と同様の乱動を続けた。
全国連合は、連合体であるためその中に地域組織がある。京畿東部連合もその一つだ。例えば、2004年の13期全国連合は全農(全国農民会総連盟)、全女農(全国女性農民会総連盟)、韓総連などと共にソウル連合、江原・嶺西連合、京畿東部連合、京畿南部連合、光州・全南連合、大田・忠南連合、大邱・慶北連合、釜山連合、西部慶南連合、蔚山連合、仁川連合が所属していた。多様な派閥があるが駐韓米軍撤収、国家保安法撤廃、連邦制統一というNL主思派路線には差がない。
4．全国連合が指向するNL主思派は、｢米帝国主義が、韓米FTA締結で韓国経済を完全に掌握して植民地支配体制を強化、統一される民族経済の形成を阻止する...米国と事大売国勢力は韓半島を永久に支配しようとする陰謀を進行中(2006年3月11日漢陽大学で決議された代議員大会の決議文)｣という主張に表れているように反米が宗教的信念に近い。
全国連合は、韓国と米国の関係を絶ち北韓政権と連邦制統一をなすのが最終目標だ。深刻なことはこの部分だ。この団体は2000年の｢6.15宣言｣翌年である2001年9月22～23日、忠北槐山郡のボラム院修練院でいわゆる｢君子山の約束｣を通じて連邦制統一を決議した。
当時の資料集は、親北人士の韓浩錫の文を通じて、連邦制統一は｢南韓内の民族民主戦線力量(従北勢力:編集者 注)の反帝闘争が北韓の社会主義革命力量(北韓政権:編集者 注)が勝利の機先を制した反帝戦線に加勢、結集する様相で展開する(｢民族民主戦線働き手前進大会｣資料集54p)｣と説明した。
また、このために｢親米守旧勢力を剔抉｣、｢親米守旧勢力の生命線を切っておく｣、｢親米守旧勢力を社会的に埋蔵する(2005年14期代議員大会資料集)｣などを主張してきた。要するに、連邦制統一は南韓内の大韓民国勢力を剔抉した後、北韓政権に加勢、結集する北韓式吸収統一であるという訳だ。
｢君子山の約束を忘れるまい｣という主張は全国連合の文書でよく発見される。例えば、呉宗烈は2006年3月11日の全国連合代議員大会で｢君子山の約束を同志たちは今年中に必ず履行する｣と言いながら、｢約束は守らなければならない。これが今日私たちがここに立っているただ一つの理由｣と念を押した。
5．全国連合は統進党の前身である民主労働党を掌握していった。すでに2004年6月実施された民労党大会で選出された12人の最高委員中、全国連合出身は院内代表の千永世をはじめ、金唱鉉、崔圭燁、李瑛煕、河然鎬、朴仁淑、金美希、李貞味など9人に達した。
全国連合の前現職幹部は国会議員など公職者に多数進出した。李正姫議員(京畿東部連合)をはじめ、｢催涙弾｣の金先東議員(京畿東部連合)、｢空中浮遊｣の姜基甲議員(全国連合代議員出身)、千永世元民主労働党代表(全国連合共同議長出身)などだ。
｢北韓の社会主義革命力量に加勢、結集する｣という連邦制統一をしようとする全国連合出身が掌握した統進党、その統進党が引っ張っていく民統党。対応能力を喪失した朴槿恵議員のセヌリ党。中道路線に固執する李明博大統領。2012年の権力交替を通じての大韓民国国体変更は可能性や憂慮水準を超えた目の前の現実として具体化されつつある。
