徐萬述の死から見えるもの=編集余話 瞻星台

日付: 2012年02月22日 00時05分

 朝鮮総連議長の徐萬述が19日、都内の自宅で死亡した。ここ数年は都内の病院で療養中だったといわれ、2年前の全体大会の際には引退説もささやかれたが、議長のポストにいつづけた。初代議長の韓徳銖が死亡したのが01年、その後、朝鮮総連のトップとして北韓とのパイプ役を務めた。慶尚北道出身の在日1世で、本紙読者には、06年に当時の河丙〓民団執行部との野合を画策した人物としてご記憶の方も多いだろう▼やはり総連は北韓と表裏一体であることが、彼の死から読み取れる。職務を遂行できない状態ながら、死ぬまでトップの座にいつづけた。初代議長もそうだった。北韓でも金日成・金正日はトップにいた。北韓のトップは「終身制」なのだろう。違う点といえば、世襲でないことくらいだろうか。「『畳の上で死んでいいのか』と言われても仕方がない人がこちら側でも、逝ったわけです。しかし、北朝鮮で悼みとして流布している『いい時に死んだ』も当てはまりますね。歴史に対し責任を取ることも、詫びることもなしにあの世に逃げ切れたわけですから」とは、徐萬述の死の報に接したある総連同胞の声だ▼声にならない声として、現在北韓内にも総連内にも不満が渦巻いているという。その声に耳を傾け、自らを変えていくことなど期待できない点でも北韓と総連は同じといっていい▼総連の事実上のトップは許宗萬責任副議長になっているが、後任が誰になるのかは不明。25日に総連葬が朝鮮中央会館で行われる予定になっている。民団は徐議長の死についてコメントしていない。


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