3度目の統一の好機 われわれが切り開こう

日付: 2012年01月01日 00時00分

 多くの波乱要素を抱え新年が明けた。
 昨年、われわれは千年に一度の大地震と、それによる巨大津波や原発事故という想定外の出来事を体験した。また、長い間独裁政権が続いた国々で起きた「アラブの春」も目撃した。
 今年は韓半島周辺の主要国に政権交替が予定されている。一方、世界経済は米国のサブプライム危機の余震が終わらないうちに、ユーロ信用不安の拡大により新たに世界恐慌という世紀的危機を予感している。
 だが、なによりも韓半島では昨年末、金正日の死という歴史的な事件が起きた。「金氏王朝」の世襲安着や生き残りをかけて自爆テロ的な対南挑発も辞さなかった悪魔のような独裁者・金正日が死んだ。憲法に挑戦してきた韓国内の「従北勢力」にエネルギーを供給してきた独裁者の死は韓国にとって天佑神助だった。
 韓半島は金正日の死で植民地と分断の歴史を清算する歴史の転換期を迎えた。韓半島の北にも自由民主主義が実現できる絶好のチャンスである。もちろん、前近代的な北に自由民主主義を拡大する過程は容易ではない。

弔問波動が区分したもの
 現に、韓国社会はいわゆる「弔問波動」で混乱した。北韓に弔問団を送るか否かを問う「弔問波動」は、「従北」と「愛国」をはっきり区分させた。金正恩への世襲を認めるべきだという主張は暴論であり、自由民主主義への裏切りだ。「金氏王朝」は人民の自由意思によって選択された政府でない。スターリン主義の変種であり、野蛮な暴圧体制にすぎない。
 自由民主主義が目指すべき価値は個人の自由と安全の拡大である。金正恩への世襲王朝を支持することは「歴史への反動」であり、金正恩によってこれから行なわれる血の粛清への支持であり、1世紀以上奴隷状態にある北韓住民の悲劇を延長させるだけの行為だ。
 金正日が作り上げた主体思想や個人独裁(「唯一指導体系」)などの暴圧体制を、金正恩が外部からの全面支援なしで維持するのは不可能だ。この金正恩体制の安着を願い支援する態勢を明らかにしているのが中国だ。そして韓国の従北勢力、以前「民主化勢力」といわれた勢力が金正恩を支持している。

従北勢力がもたらす危機
 韓国は世界的な不況の中でも善戦し、昨年12月に貿易1兆ドルを達成した。20世紀の後半に国民国家の建設に取り組んで分断と戦争をしながらの、そして近年ほとんどの先進国が沈滞に陥っている中で成し遂げた偉業といっていい。
 だが韓国は今、平壌側の対南工作に呼応する韓国内の従北勢力によって、政治的・社会的に極度の混乱に陥っている。偽りと煽動と欺瞞と暴力がまかり通っているのだ。
 「ロウソク示威」に代表される従北派の跋扈ばっこは、李明博政権自身が招いた事態だ。李大統領は中道だの社会統合だのと言い、自由民主先進国の必須条件である法治を放棄した。そのツケが自身を脅かすデモになった。
 正常な先進社会では、宗教行事でもないかぎり、大衆を相手に夜間の屋外政治集会は許されない。ところが韓国では首都の真ん中で行われている暴力的なロウソク示威を取り締まることもできない。市民が被る不便などは全く無視され、公権力が執行されない無法状況が続いている。

韓国国政選挙の輪郭
 従北勢力はすでに広範な統一戦線構築をほぼ完了した。そして当面の一大政治イベントといえる4月の総選挙の輪郭が明らかになってきた。
 新しい従北勢力の中核として出現した「民主統合党」と「統合進歩党」の綱領は、反自由民主主義、反市場経済、反法治、反安保、反韓米同盟、反憲法、反大韓民国を宣言している。つまり、4月の総選挙と12月の大統領選挙は、大韓民国の憲政秩序を否定する政党との闘いだ。
 彼らとそれに追従する政治家たちは、問題の本質を「福祉」と「平和」という美名で濁している。金正恩暴圧体制を認める「歴史への反動勢力」である「民主統合党」と「統合進歩党」が以前韓国の「民主化勢力」と呼ばれたのは歴史のアイロニーだろう。
 韓国はすでに教育費と医療費がそれぞれ国防費の3倍を超える。ヨーロッパの失敗した「福祉国家」らが自国だけでなく全世界を不安定に陥れていることを見ながらも、従北勢力は福祉を叫び続けている。
 従北勢力の戦略は「反米主義」に起因する。従北勢力は、権力を取ったら彼らの綱領どおり、躊躇なく韓米同盟を破棄する。国家とは安保で失敗すれば経済も福祉もない。有権者の投票行為はその国民の水準を表す。従北勢力への投票は自由を享受する資格を自ら放棄することになる。

今必要な勇気
 金正日は死んだ。金正恩と親中政権の持続を目論む中国共産党がいくらもがいても「金氏王朝」はいずれ滅びる。大韓民国と韓民族は南北対峙64年ぶりに訪れた3度目の統一のチャンスを逃してはならない。
 韓国は北の同族を解放させる十分な実力がある。同族を救うため今必要なのは勇気だ。李明博政権とハンナラ党は、政権を取ってから反国家・反自由民主主義の従北勢力を鎮圧しなかったせいで、国家に危機的状況を招いた。その罪過を拭うためにも、金正日の死で訪れたこのチャンスを生かさなければならない。
 韓民族が自由民主主義を得たのは自力ではなかった。当面、安保の面での危機管理は当然だが。北の2000万人以上の奴隷の解放は韓民族の意志と力で成し遂げなければならない。いかなる困難があっても韓民族の命運はわれわれが主導して切り開かねばならない。
 今韓国に問われているのは「韓国だけの福祉と平和」ではない。「韓民族への福祉と平和」であり、それは北の同族を奴隷状態から解放することだ。これに抵抗する「歴史への反動」を克服しなければならない。


閉じる